コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: EUREKA ( No.136 )
- 日時: 2015/06/12 21:57
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
鎧の男はまわりの人を押し退けて2人の目の前へやって来る。
「まさか……、君は氷姫か?」
「?!」
「そうだとしたら、どうしますか?」
「と、とにかく! ついてきてくれ!!」
「……条件付き」
焦った様子の相手に構わず、真白は左手の指を2本立てて右手を背中にまわした。
「ひとつ、魔王軍の情報提供。ふたつ、……これは今、言えない」
真白はそう言いながら拳を握る。ぐしゃ、と何かが潰れる音が聞こえ、次の瞬間に千破矢の腰付近を殴った。千破矢は丁度ズボンのベルトに直撃した拳へのダメージにより、呻きながらその場に崩れ落ちる。
「良いよな?」
「ああ、わかった。では——」
ざわざわと人が騒ぎ、それにまぎれて2人の姿が消えた。
「ッ……真白ぉぉ!!」
*
「——ってことがあったんだ」
「「「「「「いやいやいやいや」」」」」」
「まず何故追わなかったし」
「人ごみにまぎれて不可能でした」
「なんでbreak off negotiations withしなかったの?」
「な、なんて? ぶ、ぶれ……?」
「……どうして真白とその男の交渉に首を突っ込まなかったのか、と鈴芽は聞いているのです」
「真白が凄まじく乗り気だったのがひとつ。もうひとつは何故か真白に攻撃を……ん?」
拳をくらった場所をまさぐると、ポケットの中に違和感を感じた。取り出して見るとくしゃくしゃになった小さな紙が1枚入っていた。
「……Oh」
「うわ、流石真白。抜かりない」
「千破矢と違って(強調)」
「うぐ……」
蓮の一撃「(強調)」は千破矢に効果抜群なもよう。それはともかく、千破矢はその紙を広げ——表情が徐々に絶望に染まって行く。
「……ましろんの風が、消えた」
詩音にしがみ付いていた風蘭が、ぼそりと呟く。詩音は千破矢から紙を取り上げ、読み上げる。
「“鎧の男は氷姫を探していた。絶滅したとすら騒がれていた種族を探すのは不自然。僕はおそらく戻って来ない。
カインじょうほう、まおうぼくのこきょうグラギエス”——」
“カインじょうほう”と書かれているあたりからは殴り書きになっており、<グラギエス>と詩音が言いきれたのは詩音の情報力故のことだった。
「はい、フラグ回収でございますね」
「うわあああ……」
「あ、裏に書いて何かありますよ。“ちはやわるくない”」
「……ん? 真白って未来予知能力あったの?」
「「「ないです」」」
ここにきて真白は(色々とどうでもいい意味で)チートを超えたようです。
——主戦力が1人減りました。