コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: EUREKA ( No.137 )
- 日時: 2015/06/13 02:16
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
- 参照: 男の人が不憫過ぎて笑えない(爆笑)
「……さて、君は僕に話す気ないよね?」
「?」
「な・い・で・しょ?」
真白のネジがまた飛んだ。素晴らしい威圧である。そしてその際に銃を突き付けているぶんはたから見たら脅迫だったり。
男が少し躊躇い、口を開いた瞬間——その男はその場に崩れ落ちた。
「……久しぶりだな。そちらも大変なご様子で」
「大分口調が堅苦しく……、いや、砕けた方か……?」
赤黒い髪の毛と、緋色の瞳。本来とは似ても似つかない色合いだが、真白は確信を持って接した。
「魔王軍幹部、デジェル……ってところかな。出世したね」
「……今、千暁様によって君達は狙われている。これも千暁様の命」
「僕を回収することが?」
「本当は息子も頼まれたんだ。が、こいつには“氷姫と不死鳥を連れてくれば命は助ける”と伝えた」
「ああ、なるほど。千破矢に飛ぶ能力は存在しないからな」
「こいつは“相手の能力を見る”ことができる、人間だ。先日魔王城へ挑んだのは事実だが、俺の部下にやられていた——……」
男の腹を踏みつけながらデジェルはそう言えば、と真白へ問う。
「先日うちの馬鹿が来なかったか?」
「うちの馬鹿……トイフェル?」
「残念だがあの魔獣に俺は興味がない。完全に人型」
「ああ、あの無計画少年……」
デジェルは「やはりな」と溜め息を吐く。
「まあ、そんな話はどうでもいい。本当に理解しているなら……」
「受諾する」
そう言いながら袖をまくり、腕をデジェルに差し出す。デジェルは懐から注射器のようなものを取り出した。
「……僕、そこそこ重いよ?」
「最悪城の前でも……」
「改造された実家とか心の準備が出来ない」
「結局その建物の中で目が覚めるんだが」
「そうだった」
「別れの挨拶は……」
「別れじゃないから言わない。再会は向こうからしたら少しばかり想定外かもしれないが」
「なんだか、珀兄様と遊んだ時を思い出すな。どうやって相手を騙すか……みたいな」
「そう考えたら大分楽だな。というか早くしてくれいい加減腕が重い」
2人は意味深に笑い、デジェルが真白の腕に注射器型の睡眠剤を打ち込んだ。ぐらりと傾く少女を抱きかかえ、白い翼を出す。
少年の流した涙は、音を立てて地面に落ちた。