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Re: EUREKA ( No.140 )
日時: 2015/06/21 05:26
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
参照: ホモォ族乱入して来ないかな(遠い目)


 その頃、デジェルは“千暁”に呼び出されていた。デジェルにとって、千暁の命令は絶対である。それには事情が存在するが。
 扉の前に立つと、「入れ」と指示が出た。部屋へ入ると、後ろで扉が勢いよく閉まった。


「——氷姫はどうだ?」
「変化なしです。特に変わった様子はございません」

「そう硬くなるな。俺はここに毒を用意した……」

 デジェルはビクリと体を震わせ、千暁と自身の間にある長細い机の上にある、深紅色の飲み物に視線を向けた。

「飲め」

 “千暁ノ命令ハ絶対”“千暁様ハ絶対”……
 デジェルはこの毒を何度も飲んだことがある。その度に髪や瞳の色に変化が生じ、いつの日か千暁による洗脳が繰り返されることになっていた。
 今回も逆らえず、デジェルは「わかりました」とだけ呟き、その毒を服用する。

「……ッ?!」

 直後、これまではなかったはずの痛みが全身を襲った。その場に崩れ落ちて呻くデジェルを見下ろし、鮮血の色をした髪をかき上げた。

「——、——————……」

 デジェルは不敵な笑みを浮かべる千暁を朦朧とする視界に捉えながら意識を手放した。千暁はデジェルの体を軽々と持ち上げ、

「お前は、私に逆らえない」

 一言、呟いた。


 *


「うおっしゃ! これでまあマシになっただろ!!」
「っていうかこれで良いんですか? 修業シーンとかって結構大切ですよね?」
「oh……詩音、そこ指摘したらterribleだよ?」
「ねえ、グラギエス? 場所わかるの……?」

「僕はやっぱり無力だったねー……」
「何を言う。お前が全員の体調管理をしてくれていたから俺たちは安心して修業が出来たのだ」
「そうだよ。日向は無力なんかじゃない!!」

 口々に言い放ち、詩音はぶつぶつと文句を言いながら荷車の準備を開始する。苦労人(馬)には「リンゴ」「ミカン」と名前が付き、風蘭を中心にかわいがられてきた。なついたらしい。

「真白、大丈夫かなぁ……」
「人質にするなら丁重に扱うだろうし、真白なら大丈夫じゃないかな」
「フラグ」「やめなさい」

 詩音はそれを見ながら「本当に成長してるのだろうか」と疑問を持つ。
 何はともあれ、7人は修業をしたのだ。割愛したけど。強くなっている(はず)なのである。

「よし、じゃあ——魔王を倒しに行きますか!」