コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: EUREKA ( No.143 )
- 日時: 2015/06/26 20:48
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
「あの……」
「よっ、やっと来たか!」
「何してるんですか……?」
「空中散歩からの落下」
「本当に何してるんですか?!」
修業開始以降ほぼ毎日通っている詩音の精神世界。活動する機会が増えたからか、赤黒かった空は蒼く染まり、無駄に広い庭には野花が咲き乱れ(手入れはしない)ている。
詩音が精神世界へ来たとほぼ同時に、何か(シルア)が花畑へと勢いよく落ちたのだ。
「……もうすぐグラギエスに着くのですが」
「何?! さっさと会議始めるぞさっさと来い!!」
「理不尽……」
さっきまで馬鹿げた遊びしてたの誰だよ。遠い目をしながら詩音はその言葉を心の底にしまう。
数十メートルは先にある扉はもう開き、シルアは建物内に入っている。詩音はあえてゆっくりと歩くことにした。
*
「さて、どうしますか?」
紅茶を机に置き、詩音は目の前にいるシルアに尋ねる。
「そうだな。とりあえず、魔王云々ってことはあれだろ、幹部がいるんだろ? 物語的にもその方が——」
「メタい」
「うぃっす。んで、その幹部とかはお前が担当するのか?」
「それを決めるんですよ?」
戦闘狂なシルアと、穏便主義な詩音。普通に考えれば全てシルアに託すのが得策である。が——
「私の体の限界があるので、あまり長時間交代は無理ですよ?」
あくまでも体は詩音。詩音が千破矢や豪雷レベルの筋肉の所持者だったならまだしも、——詩音は“知能型”設定である。それが時々行われるシルアのデンジャラスすぎる身体能力に耐えられるわけがない。
——つまりシルアは“最後の手段”なのだ。
「じゃあどうするよ」
「それを考えてるんです」
「危なくなったら交代で良いだろ」
「それつまりグラギエス着いた瞬間交代……」
「……ないな。お前シュギョーチュー体力とか上げなかったの?」
「魔法乱用なら大丈夫ですよ……多分。体力も前と比べれば大分上昇してます。5分くらいは大丈夫ですよ、はい」
「言ったぞ?」
「はい、大丈夫です。今度適当な理由つけて試しますか?」
「メンバーの中で俺と互角にまともに闘えるのは……」
「……わかってます」
真白くらいですよね。そう言いながらにっこりと笑う瞳に生気は存在しない。虚空を見上げながら椅子にもたれる詩音と、うわ駄目だ壊れたわぁと思いながら腕を組んで思案するシルア。
「「……」」