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Re: EUREKA ( No.146 )
日時: 2015/07/05 11:43
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)


 ことの一部始終をシルアがカミングアウトしている頃。詩音はベッドの上で寝返りをうっていた。

「……」

 訪問者がいる限り、詩音は目覚めようにもこの精神世界から抜け出すことができない。一度は寝付いたものの、すぐに(夢の中で)目が覚めてしまったのだ。
 詩音は多少の覚悟はあったが、時間が経つに連れそれは確信に変わっていった。

 ——絶対あいつ、大切なことをバラす!

 無論その通りである。


 *


「「……」」
「……あ!」
「うわなんだよビビったわぁ」
「今の話、ふう、知ってるよ! ましろんがごーらいの家の前で言ってたの!」
「へえ、……どんな?」
「『ここで、とある子どもが人を殺したらしい』って。あと、『それがもし仲間だった場合、そいつのことを恐れるか?』っても言ってた! これって詩音のことだったんだね」
「これはまたピンポイント」

 真白ってどうやってそんな情報仕入れてくるんだろう。
 何はともあれ、真白の質問に対して風蘭は「仲間だから嫌いにならない」と言っていた。

「ふう、仲間だからって言ったけどね、なんだか違うの」
「なんだか違う? 何が?」
「仲間だから嫌いにならない、じゃないの。でも、わかんないの」
「……」
「皆の前だと風がびゅーって吹いてるの。でも、シオンの前だとね、ふうの風がもっと強くなる……っていうのかなぁ」

「まあ、つまり好きなんだろ?」

 ——再び沈黙が訪れた。

「……そうなの?!」
「いや知らんがな」
「えっ、じゃあ、シオンの前だったらよけい強くなるのは?」
「恋だろ」
「?!」

 シルアのシルアによる風蘭のためのドストレート発言。そして間違えていない分シルアが優勢。

「良かったな、解決して」
「よ……良かったの……?」
「経験は大切ですよ」
「シオンっぽい」
「だろ。つかお前どうする? 帰る?」
「んぅ、今何時?」
「午前6時」
「帰る! また来て良い?」
「良いぞいつでも来い詩音が寝てたらお前なら多分また来れる。触れたら来れる」

 投げやりだがそこそこ優しいシルア。

「どうやって帰るの?」
「デンメルング。じゃあ、またなー!」

 そして強制帰還。
 朝6時。風蘭と詩音は同時に目を覚ましたという。