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Re: EUREKA ( No.15 )
日時: 2014/12/21 04:48
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)


 一方その頃とかそんなのは面倒臭いという理由でカットとする。
 こちらの視点は豪雷の怒号で始めるとしよう——。

「お前っ、何しているんだああああああああ!!!!!!!!!」
「うぅ、ごめんってぇ……」

 それはトリッカへ向かうために、魔法を使って谷を渡ると言う状況から始まる。
 詩音と風蘭は浮遊能力を生まれつきで持ち合わせている。が、鈴芽と豪雷にはそんなもの存在しない。さらにエーテル——魔力が平均以下の豪雷としては、数十メートルの谷を越えることは不可能。だが、鈴芽は浮遊魔法もエーテルもバッチリ持ち合わせている。つまり……

「で、でもおかげですーっごく近道だよ?」

 風蘭のフォローを聞き、豪雷の怒りはおさまる。

「ありがとうふうらん愛してるぅぅ!!!」
「ふぇあ!?」

 鈴芽に抱き付かれて風蘭はうろたえ始める。詩音は「こう言うのも良いですよね。」と納得してしまう自分と「いや、風蘭は私の物だ。」と言う自分とで葛藤させられていた。ポーカーフェイスで。

「ところでシオン」
「はい、なんでしょうか?」
「とりかぶと?」
「トリッカですね」
「それはここからどれくらいだ?」
「私をなんだと思っているのですか?」

 鈴芽と豪雷は顔を見合わせ、同時に言う。

「「探知機?」」
「それで良いのですか!? ったくもう……。ここから時間で言うと三日ほどの距離ですね。休息抜きで」

 ぷんすか怒りながらも一応情報をくれる詩音。ただしささやかな嫌がらせ発言。——そして気付かれない現実。

「……シオン」
「なんでしょうか」
「寄り道して良いか?」
「駄目ですさっさとゼウス行きますよ」
「だがよく考えたら今俺は武器を持っていな——」
「「あ」」

 鈴芽と詩音の声が見事にハモる。
 そう。メタ発言をしてしまうが、初っ端から豪雷の木刀はポックリ状態。つまり、豪雷は今まで武器なしでここまで来たのである。と言っても、こぶしなどがあるため特に問題はない。

「……ゼウスまでの行き道にないじゃないですか、そこ」
「ないな」
「じゃあもうそれ寄り道じゃないですよねこの野郎。後回しです」

 詩音は地面に落ちていた少し太めの木の枝を拾い、笑顔で

「代わりにこれを使ってくださいな」

と差し出す。

「いらん」
「えー。幼馴染みからのプレゼントですよー?」

 ここで今まで傍観者の立場(というか空気を読んで黙っていた)風蘭が口を開く。

「えっ! シオンとゴウライ、幼馴染みだったの??」
「あ、はい。それはもう、豆粒の頃からの付き合いです」
「どうどうと嘘を吐くな!」
「チッ。はい。風蘭と出会う前からの付き合いです」

 ——あっ、言い方変えたけど別に誤解は解けてない。
 鈴芽は思ったが豪雷も風蘭も気にしていないため放っておくことにする。同時に幼馴染み同士のあれかー。とか思っていたのは秘密。