コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: EUREKA ( No.157 )
日時: 2015/09/22 22:14
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)
参照: シナリオがログアウトしました


 ——一方的に攻撃を仕掛けてくるデジェル。だがそれが本意ではないことを知ってしまい、反撃することを躊躇ってしまう千破矢。そしてその様子を笑いを堪えながら観賞している千暁。
 マジカオス。

「野郎! どうすりゃいいんだよ!」
「俺に聞かないでくれ……」

 デジェルはもはや一周回ってものすごく冷静な表情をしている。

「とりあえず死ぬのは絶対嫌だ」
「そりゃあそうだわ俺もだよ」
「属性で考えれば確実にお前の方が強い」
「……まあ、そうだな?」

 身内に“属性で考えれば確実に自分の方が強い”にもかかわらず自分より強い存在を知っている千破矢。

「っつうかお前、自分の体動かせないわけ?」
「俺の意思では一切動かん。千暁様が操っている状態だな」
「そんな状況で“様”付けとか凄まじいな」

 考えてみればデジェルは先程から、覚醒しては洗脳され、最終的に思考等々の今取り戻したところでとくに意味はないものばかり返されるという、なんとも可哀想な状態。それにはおそらく本人に見られているからというのもあるのだろうが。

「——俺を死なない程度に倒してくれ」
「待て。……この俺に手加減をしろと?」
「安心しろ君程度の本気で燃え尽きるわけがない」
「言ったなテメェ!!?」
「ああ言ってやったぞ早く来い」

 ある種の地雷を踏み抜くデジェル。——っていうかなんだこれ。
 先程までの手加減は消え失せ、千破矢は炎を拳に纏わせて反撃を開始する。——が

「なんだ、もう作戦会議は終了か」

 千暁はつまらなさそうに下降してくる。反射的に千破矢は炎を飛ばすが、それは簡単に防がれてしまう。

「では————」

 2人はこの後、想定外の事態に絶句することとなる。


 *


「まあ、そもそもオレは倒せないだろうけどさ」
「根本的な話に持ち込まないでよ」
「オレだってこの世界には終わってほしくないもん。出来ることならオレが倒されて終末とめてほしかったよ」

 全員硬直。数秒後円陣を組んで謎の会議が始まる。

「なにあの人怖くなさすぎて逆に怖い」
「魔王軍隊長? なのに、全然魔王って感じがしないね」
「っていうか私たち今まで魔王軍に色々と酷い目にあってた気がするんですけど」
「——もし、指揮をとっていたのがコイツじゃないとしたら?」
「「「……あー」」」

 魔王はポンと手をついてから口をはさんだ。

「そう言えば千暁がそろそろだとか何とか言ってた気がする」
「ちょ……、魔王さん、あなたは今まで何してたんですか」
「……ネット?」
(((ニートェ……)))

 魔王はおそらく何も手を下していないのだろう。風蘭含め全員がそう察した。——目の前にいる本人はどうでも良さそうな顔をしているが。

「えと、止めようとは思わなかったの?」
「……止めようとしたところで、オレにはもう勝てないだろうし」
「うわまさかのラスボス説」
「やめろ」

 一行は思った。

 ——どうすりゃいいんだよ。と……。