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Re: EUREKA ( No.158 )
日時: 2015/09/24 23:07
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)
参照: デジェルさんマジ不憫


「——お前に用はないな」

 千暁からその言葉が発せられた時にはもう手遅れだった。唐突に現れた火柱が2人を襲う。間一髪かわした千破矢は次の瞬間信じられないもの——ある程度想定はしていたもの——を見る。
 体を操られているが故に炎をかわせなかったデジェルを炎の渦から出したのは皮肉にも千暁の回し蹴りだった。それをもろにくらった体は、壁に打ち付けられてからずるりと落ちる。千暁が一言呪文を唱えると、デジェルを取り囲むように赤黒い円が生まれる。それが完全にデジェルを取り囲んだ時、ゴゥと何かが燃えるような音とともにその場にあったものが消えてしまった。

「ちょっ、ま、……!?」
「ものわかりの悪いところは昔からだな」
「るっせぇ!」
「まあこれで邪魔者は消えたな?」

 作者は書いていて思った。——これは新手の愛情か何かなのだろうか、と。
 ——千破矢と千暁の力量差は言ってしまえば月とスッポンのようなものだ。それを本人はしっかりと理解している。

「あいつはどこ行ったんだ」
「さあな。そんなことより良いのか? “俺を倒したらすぐに逃げろ”と言われていたが」
「ああ、言われたな。……でもな、俺は残念ながら初対面のやつより信頼できる仲間の意見をとるぜ」

 千破矢は真白の意見を選んだ——。


 *


「とりあえずさ」

 魔王は椅子から立ち上がり、数歩だけ前進する。

「オレの願いは“死ぬこと”。お前らの願いはオレを“殺すこと”、だよね?」

 マントを放り、鎧ひとつ纏っていないどころか、凄まじくラフな格好があらわになる。

「——さあ、やっちゃってよ」
「「「ええええええええええええ?!?!」」」

 こうして、半強制的に決戦の幕は上がったのであった。