コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: EUREKA ( No.159 )
- 日時: 2015/09/25 23:03
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)
「て、敵襲——ッ」
「いやでも軍服着てる……ガァッ?!」
大鎌を振り回しながら少女は進む。
千破矢と別れたあと、真白は最後に使った武器を片手に全力疾走。大鎌は基本的には両手で持つ物であり、それからわかる通りものすごく重い。
「ベファレン、ゲファール、オーンマハト、……————」
ぶつぶつと唱えるのは母に教えてもらった他属性魔法。
ちなみに一行が来る直前に大体の魔王軍は真白の手によって葬られた。ほぼ全ての敵をたった今処理したところである。——その姿は、氷姫というよりは氷鬼。
そんなヒョウキの耳に奇妙な音が届いた。その正体を探知で探る。回答に一瞬驚愕するが、表情には一切出ない。
音が聞こえた部屋の扉を半ば吹っ飛ばすスタイルで開けると、そこには——デジェルがいた。
「……また君か」
決して嫌というわけではない。
火傷が目立つその人物は、殺風景な部屋の中央にうずくまるように倒れていた。真白がそれをデジェルと判断したのは少しクセのある長髪だけだった。
「大丈夫?」
「うぐっ……ふぇ」
「ねえねえ千破矢大丈夫?」
「ぅー、あー、……今のところ大丈夫だ。だが、千暁様と彼の差はとても大きい」
「知ってる、ありがと」
まさかの千破矢を心配。その後銃で回復させた真白は、丁度良いと言わんばかりにデジェルを立ち上がらせる。
「今から結界を壊しに行くんだ。手伝って」
「えっ」
「ちなみに千暁の洗脳が始まった瞬間絞める」
「……了解」
散々こき使われて最終的に真白にも利用されるデジェルは本当に不憫。
「何をすればいいんだ?」
「僕がある程度道案内出来るから、そこで説明するよ」
「わかった」
——この2人はそれから数分後に目的地へ着くわけだが、それはモブ軍が弱いという現実と氷族が(というか真白とデジェルが)強いということが見事に組み合わさったなれの果て。
*
「ちょっ、日向と風蘭避難! 奥のカーテンの中行け!」
「「そんな無茶な!」」
「ああうんどうぞ」
「「良いんだ?!」」
まさかの魔王本人からの承諾を得てカーテンの中に入って行く2人。
「ちなみに理由は?」
「余計な被害とオレを倒す可能性0のやつはこっちに出したくないから?」
「turn away from……?」
「問答無用で否定されましたね」
そんなことを言っている間に魔王は戦闘態勢をととのえて行く。豪雷は真っ先に刀を構え、蓮と鈴芽は最終決戦だということを思い出す。
——悲しい。辛い。苦しい。