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Re: EUREKA ( No.16 )
日時: 2014/12/21 06:08
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)


*番外編

 +ホシクズトリップ+


 綺麗な星空だ。単純にそう思った。逆に、それ以外何も思わなかった。
 下には当たり前。台地が広がっている。そして、所々に植物があって、遠くに海が見える。

 ——放り出されたような感覚に、意識が覚醒する。

「————!?」

 自分の声にならない叫びで、視界に色が入って来る。
 そして今僕に見えるのは、群青色の夜空に輝く、色とりどりの美しい星たちで——。

 自分の髪の毛の先が目の前で、風を帯びてうねっている。
 自分の両手と両足が宙に投げ出され、視界に入る。
 そして背中から浴びる空気の抵抗——

「——落ちてるううううううううううううううううううううう!?!?!?」

 なんで僕は覚醒早々、叫んでいるんだろう。と言うか僕はなんで落ちているんだ?
 思考が混乱する。


「——十六夜日向さん、ですね?」
「はぇ!?」

 不意に横から声が聞こえ、首だけ動かす。
 初めに見えたのは真っ白な空になびいて広がる長髪。そこから、雪のように真っ白な肌と紅色の瞳。こげ茶色のローブが宙に舞い上がっている。こちらを見ている女の人だった。

「ここは一言で言うと、魔法の世界。オブ・ルクスと言います。他種族が住んでいる世界で、2つの大陸に分かれています。
 オブ・ルクスにはエーテルと言うものが存在し、それで魔法を使います。種族の中の人間も、魔法を使える者もいるのです」
「えっ、……えぇ!?」

 女の人は淡々と説明を開始する。

「そして今、この世界は終末を開始しようとしています」
「しゅう……まつ?」

 思わず聞き返してしまう。
 その話をしている間も浮遊感は続くし、おそらく地面は近付いてきているだろう……。

「終末。簡単に言うと、この世の終わり。
 それを魔王が招く、らしいのです。
 なので、あなたをここに呼びました」
「呼んだって……っ!?」

「どうか、————を————……」




















































 目を開くと、群青色の空と色とりどりの星が見えた。

「あ……」

 一瞬死んだのでは、と思った。でも、足はあるし、普通に頭が痛い。

「オブ・ルクス。エーテル。終末。魔王。か……」

 情報少ないな、とか思いながらも、僕は無意識に立ち上がっていた。
 そもそも「僕を呼び出した」ことが理解出来ない。
 ——なぜ? ——どうやって?
 そんな疑問が渦巻く。

「とりあえず、魔王を止めるのかな……」

 自分が立っている大地を見て、なんとなく分かったことがある気がする。

 僕はもう一度空を見て、呟いてみる。

「行ってきます」