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Re: EUREKA ( No.160 )
日時: 2015/09/25 23:48
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)
参照: 番外編と盛大にリンクしております(今更


 日向と風蘭はカーテンの裏に隠れながら会話をしていた。

「だ、大丈夫かなぁ」
「みんな揃って生き生きしてるけどね、声は」

 カーテン越しに呪文やら金属音やら物騒な音が聞こえてくる。絶対あそこに交じりたくないと本気で思っていると、風蘭は日向の肩を叩いた。

「あそこに扉があるよっ」
「え、あ、……本当だ」

 日向がよく見ると、奥に舞台裏の非常口のような扉があった。

「行ってみる?」
「んぅ、そうだね。ふう達だけ何もしないのは嫌だもん」
「終末をとめる方法が分かるかもしれないし、行く価値はあるよね」

 ——戦闘中ほぼ無力組、出陣。
 扉を開くと小さな部屋があり、奥にある机の上にあった本が扉を開けた際の風で数ページめくれた。念のため扉を閉め、その机へ向かう。向こうの音が扉で遮断され、ほとんど聞こえなくなった。

「人の物勝手に見るのはよくないよ?」
「人の物勝手に漁るために入ったんだよ?」
「あ、そっか!」

 その本の表紙には“DIARY”と書かれていた。開いてみるとまず、『ここに刻もう。私の見てきた全てのことを』と彫られている。ページをめくって行くと、時々写真付きで日記が綴られていて、日向はあるひとつの文と写真に目を向けた。

『少女にあった。
 白銀の髪と紅の瞳。氷姫の少女。』

 クリップで留められた写真には、見覚えのある姿が写っていた。
 真白に似ているが、瞳の色が違う。そう、これは——

「あああああっ!!」
「うわあっ! どうしたの?!」

 この世界に来た時、最初に出会った人物だ。

「なるほどなるほど……」
「ふうにも説明してよ! 全くわかんない!」
「あ、うん。ごめん」

 風蘭に謝ったあと、日向は再び思考を巡らせる。同時に日記の内容を見ていく。以降の日記には常にその少女が出てきた。城の写真や今までの旅で見たような景色が写されている。だが、終盤に差し掛かると唐突に悲惨な内容が。

『少女の最期の言葉を聞き取れなかった。
 そして今初めて気付いた。オレは彼女を愛していたことに。』

 虫のうねったような字体と添えられた写真には“彼女の死”が暗示されていた。
 日向はそれを見た瞬間思い出した。彼女の別れ際の言葉を。そして——自らの過去を。