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- Re: EUREKA ( No.165 )
- 日時: 2015/09/30 21:23
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)
日向が部屋に戻った時、それはもう名状しがたい状況だった。
まず豪雷と鈴芽は壁の近くで取っ組み合いを執行。詩音は尻もちをついた状態で蓮を見ている。いなかったはずの——というか日向から見たら寝返ったともとれる状態で別れた——真白がいて、蓮は何故か魔王の隣でへたり込んでいる。
——わけがわからない。
「えーっと……」
「やあ、日向。タイミングが良いな」
「うん……状況がわからないんだけど」
「まともに戦ってたのは蓮だけだったけど。僕でいいなら説明するよ」
「ありがとう。……あと、魔王さんの部屋お邪魔しました」
そう言いながら日記を見せる。すると、蓮の隣で立ち止まったままの魔王が少し反応した。
「それ、は……」
「うわああああああああ喋ったああああああああああ」
「「「反応」」」
風蘭含め3人につっこまれる日向。
「ホントにどういうことなの今教えて怖い!!」
「……。——魔王完全体。終末停止成功。この2つだけ理解していてくれれば」
「うぃっす」
経緯ではなく結果のみを伝える。風蘭は魔王が攻撃しないことを確認してから詩音の方へ駆け寄った。
「——とりあえず、落ち着こっか」
*
魔王のいた部屋のすぐ隣にある何も置かれていない少し小さな部屋へ移動。
経緯、状況、等々を説明し終え、全員が一息吐く。——ちなみにこの場に千破矢はいない。
日向が持ってきた日記を持ち、自身の過去を語り出す。
「——オレには日記にあったとおり、大切な人がいた」
「少女はそう、真白に似ていた」
「その子はオレと会った時、種みたいなのを撒いていた。そして、彼女は何も知らなかった。自分のことも、世界のことも。
「オレはそいつに雪解け——テークシスって名前をつけた」
「テークシスはオレと一緒に世界をまわってくれた。少しずつ感情が出るようになり、……いつの間にかオレは好きになってたんだろうな、あの子を」
「それからしばらくして、オレ達は“何か”に襲われたんだ。正体は今もわからない。とにかくそれの襲撃で、……」
「テークシスはオレを庇って死んだ。最期に残した言葉がわからなかった。
「きっと軽蔑や呪いの言葉だろう。いや、いっそその方が気分が良い——」
その言葉を発した瞬間、真白は立ち上がり、魔王の顔面に蹴りをいれた。もちろん不意打ちのためかわせずに後ろ向きにぶっ倒れる。
「君がそう思うんだったらそうなんじゃないの? 僕はざっと聞いただけだけど、そう思わなかった」
「……」
「想像してみるんだ。きっとその人は、こう言ったんだよ」
——「ありがとう。」って。