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- Re: EUREKA→KEEP THE FAITH ( No.174 )
- 日時: 2015/10/08 20:31
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)
——それは、化け物どもが門の手前まで来た時であった。
漆黒の闇が辺りを包み、煙のように晴れ——城門の上には今まで存在しなかった、菫色のきめ細やかな美しい髪が靡く少年の姿。
「ようこそ、招かれざるお客様。……では、暗黒の世界へご招待致します」
その頃、半ば子守目的で作られたスクリーンの前には、真白や日向含め全員が居座っていた。
「な、なんか凄まじい厨二発言したぞあいつ」
「招かれざるお客様を暗黒の世界へ招くのかあいつは」
「詩音と言ったか? 髪の手入れをするやつは好きだ、今度部屋に乗り込もう」
「「詩音逃げろ」」
魔王様に狙われ始めたが、そんなこと全く知らない詩音は城門から飛び降りて上品な笑みを浮かべた。
「コの前の魔法使イの、仲間カ?!」
「一応城内のメンバーはだいたい魔法使えますよ」
「いヤ、ソンナコトはどうでも良イ! 魔王城を差シ出せバ、オ前達に危害を加エルつモりはナい!!」
「こちらも、あなた方がお帰りになられるのでしたら危害を加えるつもりはありません。さっさと散れでございます」
前の惨敗っぷりでよく危害を加えるとか言えるな、スクリーンを見ながら誰かが呟く。
にっこりと微笑む詩音に化け物の隊長らしき存在の怒りは高まる。
「ナラば——相手ハ1人だ!! あいツノ綺麗な顔ヲ完膚なキマデニ叩きノメしてしマえ!!!」
怒鳴るようなその声に対し、詩音は一瞬悲しそうに瞼を閉じた。
「そうですか。…………そうこなくては、ねぇ?」
右手の掌を顔の前へと持って行き、その手が前へ差し出される。哀愁に満ちた表情は不敵な笑みへと流れるように変わる。
この時スクリーン越しの観客者含め、誰もが思った。——オワタ……、と。
詩音が呪文を一言唱えると、地面に複数の陥没した闇が生まれる。化け物の悲鳴が周囲に響く。
「まだまだ、これからですよ」
闇から肉のはがれ落ちた腕が出現した瞬間、千破矢はガクブル状態で呟いた。
「……おっかねぇな、あいつ」