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Re: EUREKA→KEEP THE FAITH ( No.182 )
日時: 2015/10/30 20:19
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)
参照: なんということでしょう


 それは、ほんの数日前の出来事だった。
 真白たちと別れた直後、なんだかんだで同行することになった狼・フェイ・カイン。詩音と豪雷の件は即座に解決&説得され、目的は基本情報収集となった。

「——寒い」
「それな。すごく寒いぞここ」
「真白には丁度良い温度だろうね」
「だろうな……」

 何かと真白を基準にするカインに慣れ出す2人。
 ここはグラギエスに近い——と言っても山を二つ以上は超える必要があるが——高山の奥。ほぼ鎖国に等しい生活をおくって来た氷族にとっては外敵の来ない絶好の場所なのだろう——氷族にとっては。

「いや寒すぎるだろ」
「まあ、氷族が住んでたところ自体は普通なんだけどね」
「極寒に抵抗のあるあまねちゃんに言われても説得力ない」

 一応氷族の血を引いている竜人(水属性)に言われても説得力なんてない。それでも防寒着を着用しているぶん、竜人としての力の方が強いんだろうと狼は解釈した。
 先日魔王討伐云々の噂を聞きつけ謎にテンションが上がった3人だが、すぐに新しい情報を入手してしまった。情報といってもゼノのことなのだが。

「今からどうするんだっけ?」
「グラギエスはあっちだけど、会いに行かないのか?」
「行かないよ。あっちだってゼノのことくらい知ってるだろうし。何より——」

 その時、前方に人影が見えた。植物の育たない白銀の猛吹雪、とても雪の中とは思えない服装でこちらへ向かってくる。——黒のゴシック衣装に身を包んだ金髪ツインテの女性が。
 カインと女の目があった次の瞬間だった。

「う、ぁ……」

 突然うめき声を上げてカインは蹲ってしまった。同時にカインを中心とするように風が吹き荒れ、フェイと狼は数メートルほど吹き飛ばされる。その中雪に足をとられることなくカインの前まで来た女は、何かを呟いた。
 瞬間、カインは何かに操られたかのように2人を攻撃し出した。女は不敵な笑みを浮かべ、そのまま霧のように消えてしまった。


 ——あなたはわたくしの下僕。彼らを始末しなさい。