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Re: EUREKA→KEEP THE FAITH ( No.183 )
日時: 2015/11/01 00:19
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)
参照: なんということでしょう


 たん、と軽い音がすると同時に、扉が開かれた。

「交代……真白ォ?!」
「速急に真白を追って下さい! ……事情は本人から聞きやがれでございます」
「ぇあ、はい!」

 窓から飛び降りる真白を見た瞬間状況を理解した千破矢と、呪文を唱えだす詩音。ついて行けていないのは狼唯一人。

「余裕があれば増援送りますね」
「わ、わかった」
「——では、気を付けて下さいませ」
「……おう!」

 闇にのまれて消えてしまった千破矢。数秒置いて狼は首を傾げた。

「あなたって強いのに馬鹿ですよね。キャラかぶってるのでやめてもらえません?」
「いやこれ素なんだけど?! っていうかお前との共通点が見いだせない」
「いえ私ではなくデジェルと」
「誰だそれ」

 数十分後、詩音が事情を話している頃、千破矢は全速力で荷車(というか馬)に乗った真白を追いかけると言う鬼畜芸を繰り広げていた。

「真白!」
「……千破矢?」

 真白が馬をとめると、すぐ後ろには息を切らした千破矢の姿があった。
 荷台の中で事情を聞き、一通り休めたのか千破矢は勢いよく立ちあがった。

「なるほどな! じゃあ、さっさとカインと……フェイも探さないとな!」
「あ、忘れてた。……フェイどこだろ」
「ぅおい!?」

 じゃあどこへ向かって走ってたんだとツッコミをいれると、意外にも真白からは笑い声が出た。

「よし、君がいるなら僕も安心だな」
「?」
「よっぽどのことがない限りストッパーが機能するし」
「俺ストッパーなの?!」


 *


「ふふ、……良い子」
「——……」

 自分より高い位置にある黒髪を、青白い手が撫でた。黒い髪とローブに身を包んだ少年は無反応のまま跪く。金髪の女は不敵な笑みを浮かべた。

「今、あの子たちがあなたを探しているわ」

 クスクスと笑いながら、女はカインに抱き付いた。

「——あなたは、わたくしの下僕ものよ」