コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: EUREKA→KEEP THE FAITH ( No.184 )
- 日時: 2015/11/06 19:03
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)
- 参照: 現実逃避は大切だと思うんです(←
*番外編
+セキネンメモリー+
「真白、この子がデジェルだ」
氷族の王様の背後に隠れている、自分と同じくらいの年の女の子。緑と少し暗い白色が混ざったような瞳と、雪のように真っ白な髪の子。こちらをじっと見ている——睨み付けている?——由利真白。
これが、先日両親に他界された直後に由利家に拾われた俺、デジェル・ミストラルと、氷姫である由利真白様の出会いである。ちなみに立場は召使である。
「真白はほんの少し人見知りだけどとても明るい子だよ」
城内に住み、早1週間。真白様の兄——由利珀様曰く「馴れれば優しい子」。
彼女は両親に勉強を教えてもらっている。氷族の王様——由利氷河様による授業は俺も一緒に受けているが、おきさき様である由利鈴蘭様は真白様に“氷姫”について指導しているらしい。
真白様は勉強なんて必要ないのではというほどに秀才で、勉学開始後ほんの数十分で課題を終わらせ出て行ってしまう。——まるで、俺を避けているかのように。
ある日、城の地下にある書物をとって来るという指令を受けた。
迷路のような地下だったため、地図をもらった。書かれた通りに進むと鉄の扉があり、恐る恐る開けてみると、地下とは思えない構造のなかずらりと並ぶ本——。
頼まれた資料は回収し、戻る時に気付いた。——地図をなくしたことに。さらに悪あがき(地図なし脱出)をしたことで完全に迷子。
いっそ壁に手をついて歩いておけばいいのではないかと思い始めた頃に前方から足音が響いた。
「……やっぱり」
——由利真白、様である。
「や、やっぱりとは?」
「どうせ迷子だろうなぁと」
そう言いながら右手でちらつかせているのはなくした地図。真白様の着ている服は比較的一般市民のようなものが多い。少しサイズの大きな白いワンピースが背後からの風で揺れている。
「時間は午後三時。そろそろおやつの時間だね」
「そうですね。というか、どうしてこんなところに……?」
真白様は俺の前を歩きながら溜め息を吐いた。
「探しに来た」
「ふぁ?!」
「さっき書庫にこれが落ちてたから、ああ地下で迷ってるんだなぁって」
「なぜ真白様は書庫へ?!」
「君が来る前から書庫にはいたけどね……」
「……ごめんなさい。探すの、苦労したんじゃないですか?」
そう言うと、真白様は少し首を傾げた。いつの間にか俺は真白様の隣を歩いていた。
「んー、別に?」
「別に?!」
「うん。しろ、たんちのーりょく?を持ってるから。おんなじところグルグル回ってる君を見つけて先回りするのは簡単だったかな」
「同じところグルグル回ってる俺?!」
「そう。ずっとこの部分をぐるぐる……」
「あぁぁぁぁ……馬鹿だ俺……」
地図を見せながら真白様は場所を説明する。何故途中で気付かなかったんだろう恥ずかしい。
——これが初めての真白様との会話だったりする。