コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: KEEP THE FAITH ( No.187 )
日時: 2015/11/09 00:19
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)


「まだか?」
「まだだ。フェイは?」
「おう、まだ寝てるぜ。あとどのくらいで着く?」
「君が邪魔をしなくてなおかつ酔わなかったら6時間ほどで着く」
「無理だな邪魔しまくるからかまえ」
「断る」

 荒野を馬で駆けながら真白は溜め息を吐く。このルートはブルートまでの最短ルート——つまりショートカット。

「眠すぎる」
「もう夜だな」
「馬の耐久力が凄まじいな」
「それ」
「千破矢寝てていいよ。いやむしろさっさと寝ろ」
「うぃっす」

 その方が早く着くという真白の威圧により、千破矢はフェイのすぐ近くで眠りにつく。
 異様に寒いこの荒野は、真白にとっては快い温度である。——馬は本当に何があったと言わんばかりにピンピンしている。

「君達、いったい何があったんだ?」

 もちろん二頭の馬が答えることはないが、とりあえず食料を与えると俄然やる気が出たかのように馬の勢いが増す。
 ——何こいつらチートがうつったのか?

「無理しないでね」

 そう呟き、真白は欠伸をする。
 ——無理しないでね。その言葉を聞き取った千破矢は、口の中で誰にも聞こえないように呟いた。

「——その言葉、そっくりお前に返してやるっての」


 *


 ——俺は、何をしている?
 ——俺は、どこにいる?
 ——俺は、いつからここにいる?
 ——俺は、俺は、——誰だ?

「あなたは私の下僕。あなたは私のモノ」

「あなたは私のために命を差し出す。私のためのお人形」

「あなたは————」

 ——もう戻れない。

 うるさい。黙れ。俺は——

「あなたの名前はクロウド・カイン。これから来る子たちはあなたの敵」

 これから来る——?

「現時点であなたは、フェイと狼を仕留めたわ」

 ——、——……——

「次来るのは……氷姫の子と不死鳥の子ね。あなたはそうね——」



 ——由利真白ちゃんを仕留めてくれればいいわ。