コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: KEEP THE FAITH ( No.190 )
- 日時: 2015/11/14 23:59
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)
「嘘だろあいつ強かったのかよ……」
「僕より強いよ」
「それは聞いた」
うんうんと唸り始める一同をよそに、クロムはホワイトボードを裏返して情報をまとめ出した——ものすごく汚い字で。
「クロム?の字はリンと同じ? それとも違う?」
「リンの時は習字みたいなことになってるぜ?」
「ふうん……」
内心少しほっとする真白。
ホワイトボードには
『・真白よりカインのが強い(優しいから手加減?)
・カイン襲ったのはおそらく吸血鬼
・操ったのはゼノの一員
・フェイ雪山に倒れてた→雪山でカイン操?
・オレの字は汚い』
と書いてあるのがかろうじてわかる。
「最後のいらないですよね」
「優しいから手加減ってまるで真白が優しくないみたいな言い方するな」
「君は覚えているだろうか。僕がカインさん助けるためだけに大蛇を斧で——」
「あ゛あ゛あ゛やめろ!!」
真白が汚れる、謎の発言を残して千破矢は蹲ってしまう。
「よしクロム、僕はどうすればいい」
「そうだな、じゃあ今日は休んでくれ。その間にオレ達が情報を集める!」
「わかった! 早めに頼む。僕寝るスヤァ」
「「はやっ」」
その場で眠りにつく——といっても氷族(特に氷姫)に睡眠は必要ない——。
詩音曰く、ものすごく疲れているとのこと。——カインを心配しすぎて自分のことが疎かになっているということだろう。千破矢は溜め息を吐きながら座りなおし、考え込んでしまう。
「あなた方本当に阿呆……げふん」
「じゃあオレは今から情報集めてくるわ」
「なんだか、リンもクロムも変わりましたね。良い意味で」
既に疲れ気味な詩音を見て、クロムはにやりと笑った。
「——でしょう?」
*
結論、助かる可能性はやり方次第では50%ほど。だが、実力ではほぼ0%と言える。——リンの予想が正しければ、実力で負けるだろう。だからといって詩音を出してしまえばおしまいだ。
——真白は1つ、推測を誤った。詩音は呪いに耐性はない。それは狼によって証明されている。実際、あの時真白は「呪いの類だ」と明言している。
空は闇に染まり、街灯は吸血鬼の街に必要がないため真っ暗。人形だったため血も何もないリンにとってはまあまあ無害な街。いつも普通に歩いている街だが、今日はやけに静かだった。
「……やっぱり」
綺麗にまとめられたメモの資料を見ながら、リンは深く溜め息を吐く。
「やっぱり、あいつか——」