コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: KEEP THE FAITH ( No.194 )
- 日時: 2015/11/29 21:41
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)
- 参照: 冬眠したい
「ク・ドゥ・グラース!」
ルクルッテの呪文が聞こえると同時に千破矢の体が後ろへ吹っ飛ぶ。直後に真白は彼女に銃口を向け——位置を特定する前にぶっ放す。勿論それは簡単にかわされ向こうのドヤ顔が披露されるが、そんなものに興味はないと言わんばかりにカインへと向きなおる。
「ツーレン、……ゲヴェクス!」
銃を撃ちながらカインに特攻をかけると、向こうは防御の体勢をとった。
淡々と続く——ほぼ沈黙と詠唱と爆音が飛び交うとんでもバトル——カインと真白を余所に、ルクルッテは千破矢を見つめた。
「ふふ、真白ちゃんはやっぱり本気を出せないみたいねぇ……。こっちは別として、だけど」
“こっち”というのは真白がルクルッテへ撃った弾丸と、同時に千破矢へと向けられている。千破矢は壁にうちつけられてピクリとも動かない。
「ところで
——いつわたくしが、あなただけを狙うと言いまして?」
そしてこの鬼発言。おばさんは偉大である。
「——ふっざけるなあああああ!!!!」
千破矢が再び動き——真白風に言うと再起動——、戦闘は再開という回り回って大迷惑な結果となった。
「「いい加減くたばれえええ!!!」」
*
「……ひ、——ヒルフェ。チェック……メイト……」
建物の破壊っぷりはもはや「何故均衡を保ってられるんだそうかこの小説一応ファンタジーだからか」レベルのものであった。
先程までの威勢は何処へやら、少し離れた場所で静まり返ってのびている不死鳥と吸血鬼(女)。地下を大破したのは主にこの2人の肉弾戦である。理由を簡単に説明すれば、千破矢のしぶとさにルクルッテがブチ切れたからである。
真白は目の前で膝をついて自分を見上げている腹違いの兄を見つめ、息を整えながら呪文を唱えた。
「——ぁ」
久しぶりに聞いた声。真白はほっと肩を撫で下ろそうとし、——カインの隣に大鎌を突き刺した。ギィンと音がし、ナイフのような物が地面に転げ落ちる。投げたのは——千破矢。
「……なるほど、な」
数秒前の疲れなど吹き飛んだかのように、真白は口角を上げる。
「——ぐ、……ッ逃げろ!!」
「って言ってこの真白ちゃんが逃げるとでも?」
「だろうなああ!!!!!!!」
こうして、——ルクルッテの次の標的になってしまった——千破矢の最後の言葉は「逃げろ」ではなく「だろうな」というよくわからないことになったのであった。
文句はサイコロ様にお願いします。