コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: KEEP THE FAITH ( No.196 )
- 日時: 2015/12/04 22:49
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)
- 参照: フラググラッシャーとは私のことである。
「フェイ……」
空き部屋の真ん中に座ってフェイは自分の名を呟いた。しかし、脳裏に浮かび上がるのは自分ではない、別の——白い服と黒い髪の後ろ姿——存在。それが振り返ると、無意識に口から言葉が漏れた。
「か、い、ん」
同時に、空き部屋の扉がスパァンと開き、白は白でも上下共に真っ白な少女が入って来た。
「……どちら様ですか?」
「カインの弟子且つ妹、……って言ってもわからないかな」
「……」
酷く申し訳なさそうな表情を浮かべるフェイを見て、真白は「らしくない」と呟く。だからなんだと突っかかって来いとでも言いたげな表情に、詩音は失笑。
「こちらが今のフェイですけど、どうでしょう?」
「問題ない」
勿論、姫系軍人さんに人の記憶をよみがえらせるような能力はない。首の傷も自力で治癒してしまったが、流石にそこまで行くとチートとかそういう話ではなくなってしまう。
そもそも真白の目的は記憶を戻すことではない。
「存在確認は終了……。記憶確認……終了。——ふむ、別に問題はないかな」
外傷はないしと付け加え、真白は千破矢を地面に下ろす。瞼を閉じて少ししてから何度か頷き、無言でその場を去る。
「不思議ちゃんかよ!!!」
シルアもとい詩音がそう叫ぶと同時に玄関から物音が聞こえた。
「誰か帰ってきましたね」
「……そのようですね」
詩音は足元に倒れ込んでいる千破矢を見下ろして、溜め息を吐いた。
「どう考えても私、今必要ないですよね……」
*
「ルク・ルッテは逮捕。カインは保護?」
「情報は出てないの? 保護しないで」
「わかった。ルクルッテは何も吐かない。ただ、何かに脅えてる感じだった」
「へぇ……」
真白とリンが建物の前で話していると、数人の制服を着た吸血鬼が飛んできた。
「リン様! 真白様! ルク・ルッテが真白様に会いたいと……!」
「えぇぇ僕は会いたくない……」
「そしたらゼノの情報を提供するとも言っていました」
「「よし行こう」」
もはや取り返しのつかない泥沼展開をむかえているわけだが……。
ちなみに、この頃カインはフェイに土下座で謝っていたりそれを詩音とフェイが全力でとめに入っていたり、その隣で今だ目覚めずな千破矢がいたりしたのはまた別の話。