コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: KEEP THE FAITH ( No.212 )
- 日時: 2016/04/02 19:02
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)
- 参照: 忘れてるううう\(^o^)/
獣道を4人がもそもそ歩いていると、千破矢が「うみゃっ」と声を上げて地面にダイブした。勿論不本意。
「どうしたガキンチョ。……マンホール?」
狼は千破矢がつまずいた円形の出っ張りを見て首を傾げた。自然一色なこの場所に必要なものだろうか。
「古井戸か何かか?」
持ち手のような部分を掴みあげると、ギイィといった鈍い音とともに穴の中に暗闇が広がった。ちゃんとはしごも付いている。
そしてこの中には寄り道大好きな情報屋がいらっしゃる。
「何そこ人入れるくらいの穴だねでっかい入ってみよう!」
「うわあああああ」
千破矢は全力で後悔した。足元見とけば良かった、と。
*
外はあんなに晴れていてピクニック日和なのに、何故自分はこんな日光ひとつない洞窟の中で探検しているのだろう。千破矢は嘆いた。
カインの持っているランプの光以外全くない真っ暗な洞窟の中に、水音と4人分の足音がやけに映えて聞こえる。
「だいぶ長いな」
「そうだね。生き物も全くいないし、変な感じ」
「このタイミングでランプの火が消えたらどうする?」
「闇鍋ならぬ闇探索」
「炎魔法使おうぜッ?!」
闇鍋ならぬじゃねぇよと心の中で叫びながら少年は声を荒げた。ランプの中で火はメラメラと燃えている。
「これで行き止まりだったらどうしようか」
「笑う。真顔で」
「真顔で笑うとは」
「ならカインを殴って天井をくり抜く」
「ははっ、俺は全力で逃げるけど天井くり抜くのは賛成〜」
「腹いせに千破矢と狼も殴るわ」
「「?!」」
「倍返しにしてやるよッ! 似たような口調しやがって!」
「メタ発言乙」
わーい火花でさっきより明るくなったなどと言っているバカインと冷めた発言を残し出す千破矢。
千破矢は心の中で呟く。「思ってたのと違う」、と。
「……千破矢。ここ湿気すごいけど、大丈夫?」
「んぁ? ……今は大丈夫」
「そっか。ならちょっと走ろうか」
「えっ」
にっこり笑いながら謎の鬼畜発言をする。反抗する間もなく手を取られ、タンッという軽い音が闇に響いた時には風を切る感覚に襲われる。後ろを見ると闇。
「2人は?」
「んー……、ちゃんと付いてきてるよ。俺らには見えてないだけで」
カインの着ているパーカーのフードが風になびいて音を立てて揺れている。
ぴちゃん、ぴちゃんと不規則に落ちる水音。風を切る音に、水溜まりを弾く音。足音が、1つ、2つ、3つ、4つ。そして、何か重たいものを引き摺るような音。
「……気付いた?」
カインは小さく問いかけた。