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Re: KEEP THE FAITH ( No.215 )
日時: 2016/04/10 21:22
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)
参照: 唐突にくるスタイル


 爆弾発言を広間に轟かせ、色々な意味で一行が怯んだ。直後、蛇男は頬に添えていた触手をカインに叩きこむ。前まで一緒に旅をしていた仲間の1人が喜びそうな展開だと解釈した千破矢はカインの服を勢いよく引っ張りかわす。

「あかんあれ絶対あれだ」
「あれって何?!」
「“作者の悪戯”……!」

 超絶真面目な顔で千破矢はそう呟く。正確には作者が夢の中で見たものをモデルにしているだけだが。あとはサイコロ次第。

「もぉ〜う! 逃げないでよぉ!」
「逃げないと叩き潰されるじゃねぇか!!」
「あら、そうなの? なら——」

 蛇男が触手を引っ込め、次の瞬間、宝石から無数のもやが出てきた。あたりが淡い緑色で霞んで見えなくなる。カラン、という音と同時に蛇男は口元をぱっくりと裂かせて笑う。

「これなら潰さなくてすむわねぇ?」

 千破矢は悟った。——墓穴掘ったわ、と。
 もやは光りながらカインに巻き付き、ふわりと持ち上げた。

「うあっ?!」
「カインっ? 今助け——」
「じゃあ貰って行くわねぇえええ!!!!」
「「ちょおおお!!!?」」
「卑怯だぞ! カマ野郎!!」
「なんとでも言いなさぁあぁい!!」

 もやと触手に巻き付かれたカインはそのままやたらとハイテンションな蛇男にさらわれた。追いかけようにも何も見えない状態の3人は蛇を罵倒することしか出来なかったという。


 *


「……どうするよ」
「あっちに行ったのはわかる」
「明かりがない」
「ランプならここに落ちてるぞ」
「ならお前らの炎魔法でなんとか出来るな」
「くっ、カインがいたら探知出来たのに……!」
「カインの能力でカイン探すのかよ」
「あっ」
「つべこべ言ってないで行くぞお前ら」

 炎をランプに付けながら千破矢は年上2人を呼んだ。入って来た方とは間逆の方向にある穴に持っていかれたカイン。何か空気読んで落としてくれてないかなとか思ったが多分蛇の胴体引き摺りによって無意味になっているだろう。
 千破矢を戦闘にフェイと狼が縦一列に歩く。

「うああ俺が叩き潰されるとか言わなければ……」
「いやお前が言わなかったら叩き潰されてたと考えれば良いだろ」
「多分カインはそんなヘマしない。……いや、するかも」

 大分前に砂漠で真白に助けられていたことを思い出す。同時にその際にカインを危険に追いやっていた存在も蛇だった気がする、とも。

「なんか、……ごめんな、カイン」
「「……?」」

 蛇に縁がありますねとはとても言えない千破矢は、とりあえず先の見えない暗闇に向かって謝るのであった。