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Re: KEEP THE FAITH ( No.216 )
日時: 2016/04/12 00:09
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)


 ヒロインなカインさんを助けようの会(※違います)が始動して数十分。やっとのことで水音と足音のみが響くというとんでもなくよだきい事態から解放されることになった。なんとなく外らしい感じの光が見えたのだ。

「一本道だったな」
「所詮は作者の夢だったからな、今回」
「メタ発言、駄目、絶対」

 千破矢が光が漏れている場所をのぞくと、上に巨大な穴のある——そこから日光が漏れている——広間があった。
 目的の存在は床に拘束されてスヤスヤと眠っているのが見受けられたが、同時に別のものも見つけた。

「アレン?」

 茶色の髪の毛をくるくると指で弄びながらカインを見下ろしている幼馴染。千破矢はツッコミを放棄した。

「うげ、千破矢じゃん。タイミング悪いなぁ……」

 こちらに気付いたアレンは黒の外套をばさばさとはらいながら千破矢に視線を向けた。心底可哀想なものを見る目で。

「この人あの性別が微妙な蛇に捕まったんだろ?」
「お、おう……」

 返答を聞いて深いため息を吐いてアレンは頭上の空を見上げた。

「あいつはまあ……、お察しの通りのタイプだ。そろそろ帰って来ると思うぜ」
「ならさっさと助けて退場した方がいいな」
「お前の目は節穴か? こいつの拘束具が見えないのか?」
「あー……」

 胴体と四肢を拘束している紐状のものは明らかにあの蛇の触手だった。切断されているのはイモリとかの感覚で妥協しましょう。

「ところでこいつ誰」
「真白の義理の兄で、今は俺らと旅してる仲間……?」

 真白という単語を聞いて更に面倒臭そうな表情になるアレン。
 狼とフェイは千破矢の後ろで2人の話を聞く。

「こいつらの関係は?」
「知らんがなんらかの関係はあるみたいだな。真白関係で」
「真白って、あの吸血鬼の街であるはずの場所で無双劇を繰り広げたっていう……、真っ白な?」
「多分それ」

 狼があいつならやりかねないという偏見で肯定する。ある意味事実だが。
 上空から地面を摺る様な音が聞こえてきた。

「ほら来た、馬鹿千破矢のせいで逃げ遅れたし。ばぁーか」
「えぇっ」
「ったく……、せっかく拘束解けたのに」

 不機嫌全開な彼だが、実際のところカインの拘束を解いてから脱出予定だったというのは恐らく誰も知るよしもない。

「——あんらぁ、オカズが増えたわぁ〜♪」

 突如日光が遮られ、声が聞こえた方を見上げると——穴の外からこちらを見下ろしている蛇男。巨体と体重を完全に無視した彼は勢いよくジャンプしてドスゥンと強烈な音と共に着地する。

「「……」」
「もぉう! 1人逃げたと思って急いで帰ってきたのに、まだ逃げてなかった挙句に男の子が増えてるなんて思わなかったわぁ!」

 甲高い声と縁起でもない台詞を吐いた彼の舌は蛇特有のそれだった。