コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: KEEP THE FAITH ( No.227 )
- 日時: 2016/05/27 22:43
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)
辺りを見る限り水源は数カ所に少量。竪穴住居のような造りの建物が点々とある。そして
「あらら……、これは酷いわ」
前回来た時はいたという門番がいないことに疑問を持ったネイクスは、目の前に広がる光景にさして驚いた様子もなく呟く。
黒いものがいくつかにまとまって地面に落ちている。アレンはおもむろにそれの一部を拾い、握り潰してから振り返った。
「“人間”の末路……、かな」
「マジかよ」
「凄いなこれ、人体ピンポイントで焼いたのか」
「人体発火現象……、村全体で? いや、さすがにそれは……」
眼前に広がる地獄絵図を目の前に冷静な分析を始めるカインに千破矢はなんとなくデジャヴを覚えた気がしたが、そっと胸にしまい込む。
ネイクスはじぃっと村を見渡し、溜め息を吐いた。
「生存者はいなさそうね。何があったのかしら?」
「一応聞くが、お前は関係ないんだよな?」
「あたしは愛と平和とあの子を愛する完全純潔乙女よ」
「完全純潔乙女かどうかと言われれば全力で否定するけどお前はそんなことしないよなぁ……」
「やるとしても『こうなってしまえば良いのに』で終わらせそうですよね」
「あら、カインちゃんはエスパーかしら?」
「氷兵と竜人のハーフです」
笑顔でなんともレアな素性をばらし、カインは筆記用具片手に村を探索し始めた。
「えっ、初めて知った」
狼は家にずかずかと入って行くカインの後ろ姿を見ながらぽかんと口を開けた。フェイは表情を少し歪め、目を閉じる。
2人の様子を見たアレンはゆらりと千破矢の前に立つ。
「マジ?」
「カインは真白が俺たちと会う前に一緒にいたんだよ」
「じゃあつまり、真白ちゃんが無駄に強いのは彼の指導?」
「……そうなるな」
そう言えばたしかにそうだ。そんな表情を浮かべる本気遊びの通称兄に弟は心底哀れみの感情を向けた。その後深い溜め息を吐いて、真白といい勝負な真顔で述べる。
「——なら、俺はこの後も君達と同行するよ」
数分後、戻って来たカインはこう証言する。
「さっきまでほとんど会話がなかった千破矢の友だちに弟子入り志願された」
と。
「——俺は、強くならないといけないんだ」