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Re: KEEP THE FAITH ( No.228 )
日時: 2016/05/31 23:25
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)


「……、とりあえず、ネイクスさん。2つで良いので質問させて下さい」

 メモとアレンを交互に見て、結果的に別方面に逃げるカイン。絶対こいつは嘘が下手だと悟った千破矢はそっとアレンとカインの間に移動した。
 ネイクスは顔をカインとほぼ同じ高さに、笑顔で承諾した。

「ええ、構わないわ」
「ありがとうございます。その前に2人……、あー、狼とフェイは他のところも見回ってきてくれるかな」
「おう、良いぜ。何かみっけたら持ってきた方がいいか?」
「報告だけで大丈夫。ありがとう」
「あ、なら俺もアレン連れて回って来るな」
「うん、そうだね。気を付けて」

 ひらひらと手を振りながらフェイと共に村の奥へ踏み込んで行く狼と、その逆方向へアレンを引っ張って連れて行く千破矢を見送り、カインは微笑む。2人の影が見えなくなってから、おもむろにネイクスへ向き直り、話を進めた。

「ではまず、この状況の正体を教えて下さい」

 「お前はわかっているだろう」と断定した台詞。

「やっぱり、あなたはエスパーじゃないかしら」
「氷兵と竜人のハーフですよ」
「あなた、狼ちゃんたちには黙っていたみたいじゃない。何故あたしには言うの?」
「別に隠していたわけではありませんよ。ただ、どちらの種族でも情報集めに当たって面倒なことになるので」
「生け捕り対象にはならない竜人を選んだ、ってわけね。なるほど」
「それに、あの子に迷惑は掛けられませんからね」

 人差し指を口元にあて、カインは目を伏せた。ネイクスはカインを見上げ、少しばかり表情を歪める。
 メモ帳をぱたんと閉じてポケットにしまうと、カインは腕を組んだ。

「……これは確認のための質問ですけど、あなたはゼノというものをご存知ですか?」
「ええ、もちろんよ。だってここは——」

 ザァ……、木々が葉を揺らす。

「——“ゼノ”の起源だもの」

 風の音でかき消えてしまう、そんな声をはっきりと聞き取った少年は——不敵な笑みを浮かべた。
 曰く、「一番待ち望んでいた答え」。

 遠くから、こちらを呼ぶ声が聞こえた。