コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: KEEP THE FAITH ( No.231 )
日時: 2016/07/09 20:22
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)

「なるほど。これは興味深いね」
「結局何だこれ。日記だよな?」
「うん。正確にはもっと違うもの……呪われてるといっても過言ではない、そんなモノなんだけど」
「えっ、お前そんな代物を素手で触ってるけど!?」
「呪いの効力は氷族の血のおかげで受けないらしいんだ」
「ほんっとチートだな。この前おもくそ操られてたけど」
「返す言葉もございません」

 フェイを建物の外に待機させ、カインは狼に呼ばれて入った中にあった分厚い本を見ていた。そのそばで転がっているもう動かない人の体。

「ちなみにオレが触ったら……」
「10秒耐えれたら褒めてあげるよ」
「んんんやめておこう」

 そう言って狼に微笑むカイン。フェイにストップをかけられて触るのをやめた狼はサァっと血の気が引いたという。
 カインは分厚い本に視線を戻すと、「ふーん」と呟いて元の場所へ戻した。

「これはあれだね。怨念とも言い難いなにかが渦巻いてる。読んだら体より精神がやられるかも」
「どんなことが書いてあるんだろうな」
「察しはつくよ。それに——」

 ズゥン、と。重い音が響いた。
 千破矢とアレンの向かった方だ。何かあったのだろうか。いや、あったに決まっている。

「……行ってくる」
「わかった。じゃあオレはフェイとこの辺見てから行くわ」
「了解」

 音のひとつも立てずに建物を飛び出して音の方へ向かうカインを見送り、狼は外へ出る。そこには頭にクエスチョンマークを浮かべるフェイの姿が。そりゃそうだ。

「フェイ」
「狼! 今、カインが……さっきの爆音か?」
「まさにそれだ。千破矢らの行った方向らしい」

 狼は先程の呪いの分厚い本のことを軽く説明し、もう少しこの辺りを探索することを提案する。フェイは少し悩む素振りを見せたが、小さく頷いた。

「カインなら大丈夫だよな」
「一応合図も決めてるし、あいつに限ってヘマは……するけど、大丈夫だろ」

 あくまでもドジっ子属性だということを思い出し(さらに言うとドジっ子が発展して命の危機に陥ること多々あり)、あとになってから後悔が押し寄せて来た気がした。
 大丈夫あいつ強いし。何回か3人で手合わせした時にあいつ問答無用でひとり勝ちしてたし。よーし大丈夫だ。
 狼が心の中で自分に言い聞かせていると、フェイに鳩尾を蹴られる。

「ってぇ!」
「さっきからぼーっとしてんなよ。行くぞ」

 あからさまに不機嫌な表情を浮かべたフェイはローブを翻してまだ見ていない建築物を調べ始めた。
 お前あいつに一回記憶リセットされてるんだぜ。そんなことを思いながら狼は溜め息を吐いた。