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Re: KEEP THE FAITH ( No.237 )
日時: 2016/07/14 18:43
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)


「ところで、前一緒にいた人たちは?」

 粗方溜め込んでいた何かを叫んだアルマはふっと詩音に尋ねる。そう言えばあの時のくそったれオオカミと自分の仲間が一緒に旅してるなんていう現実に気付いた詩音は一瞬真顔。

「……今日は私と、この後ろのやつらだけです」
「へぇー……。なんか、すっごく……あれだね」

 大変そうだね。
 ジャージに角隠しのキャップを被ったオタニート魔王と、操られていたとはいえ元魔王軍の闇堕ち要員だ。負のオーラビンッビンである。
 年下の少女に同情の視線をおくられた詩音はたまったものではない。だって不可抗力なんですもの。言わばこいつら護衛だもん。

「まっ、呪いも解かれてるっぽいし良かったよ! この前の薬使った?」
「使ってないです。多分日向辺りが持ってるはずですが」

 蓮が持ってたら多分クリスタルの中ですねーなんて思いながら塔を見上げる。

「……、あの塔、いきなり建ったんだって。従業員っぽい人以外で中に入って戻って来た人がいないとかなんだとか。でかいからわかんないだろうけど、郊外にあるんだって」
「従業員……?」
「うん。従業員っぽい人。青いつなぎの」
「ノンケでも食っちまう人たちの塔とか絶対無理です」
「そっち!?」

 塔を見上げながら両手を顔の前でクロスさせる詩音に、アルマは慌ててツッコミを入れる。一方デジェルは空を見て、アステルとともに宿へ入って行った。塔で妨げられていて太陽を拝むことは出来ないが、誰がどう見ても橙色である。

「もしかして、邪魔しちゃった?」
「微妙ですね。ジャージじゃない方が初めての祭りでやや興奮気味だったので少し屋台でも見ようかという話をしていたところだったので」
「んんんん……」
「まあ明日は私1人で充分なので、良ければ一緒にまわってやって下さい」
「えっ、断ったら——目に威圧がッ!! でっでも負けなああああ腕掴まれたああああああッ!!!!!」

 明日の予定を話して就寝。本来なら睡眠なんてほぼ必要ない彼も、なんとなくでしっかり睡眠時間を確保しました。

「今日の夕方には戻りますので、夕食の時間に宿で待ち合わせです。私がもし帰って来なかったら放置の方向でお願いします」
「了解した。……もし俺たちが帰らなかったら?」
「そんなこと……あるんですかねぇ。いかがいたしましょうか?」
「アルマさんがいるから、救助を要求する」
「承りましたー」