コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: KEEP THE FAITH ( No.243 )
- 日時: 2016/09/22 16:40
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)
下からのオブラートに包むとどっかんばったんといった音に、アルマは完全に戦慄していた。
「ねえ何の音なの?! こわっ!!」
「それはねー……なんだと思う?」
「わかんないから聞いてるんだよ? 馬鹿なの?」
「罵倒されたつらたん」
アステルがしゅんとする。彼はもう数えるのをやめる程度の年齢だが童顔のため、身長次第では完全なるショタになりうる。合法ショタが出来ないこともないという意味でもそうとうな危険人物だ。
その一方でデジェルは扉のすぐ前で聞き耳を立てていた。
「……何してるの?」
「いや、先程からやけに静かだな、と、思いまして」
「下からもう誤魔化せないレベルで悲鳴と破壊音が響いてるけど」
「この階が、です。下に全員行ったんですかね。警備もなしなら本当に馬鹿軍団ですよゼノ」
「あー……」
確かにそうだと呟き、アルマもデジェルの隣に座る。集中しているせいか先ほどよりも下の轟音が耳に響くが、扉越しには物音ひとつ聞こえない。
「今なら逃げれる……?」
「出れるだろうな。鍵は掛かっていない」
確かに扉は勢いよくしまったが、鍵は掛けられていなかった。錆のせいでたてつけは凄まじく悪いが。
「え、何。出るの? やめといた方が良くない?」
「そうですか。……なら、待機の方向で」
「あと2人とも。オレは扉から離れることをオススメするね」
「ふぇっ? なんで? チャンスだよ!?」
一度頷いてから指示通り扉から距離を置くデジェルに、アルマは不満をぶつけた。アステルは扉を指差しながら口を開く。
「だって——」
ガタン。鈍い音をたてて扉が外側から破壊される。
「——外は危ないよ?」
*
「疲れたので交替してもらえませんか?」
豪雷の持つ刀に似た形状の黒い刀を振り回しながら、詩音は頬を膨らました。数秒後に舌打ちをしながら目の前の階段を駆け上がる。上がりきったところを待ち伏せで襲ってきた影を斬り付けながら溜め息を吐く。
「46」
一度に来る襲撃者数も減った。そろそろ頂上なのではないかと推測しながら辺りを見る。一階と比べるとだいぶ狭く低くなった部屋。すぐ上からは何やら声が聞こえてくる。絶対手抜きだろうという構造に再び舌打ちをすると、詩音はすぐそばの階段をゆっくりと上った。
刀を杖の代わりに突き立てて上りきると、角の向こうから少女の声が響いた。「やめて」と。
詩音はほんの一瞬顔を顰めると、声のした方向をおもむろにのぞき込んだ。