コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: KEEP THE FAITH ( No.257 )
- 日時: 2016/12/16 13:01
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)
「じゃあ三人とも、頼んだ」
「「あいっしゅ!」」
2人のウサギモドキとロボが元気な返事を。1人のショタがぺこりと頭を下げて部屋を出て行った。
「何か頼んだのー?」
「ああ、うん。ちょっとゼウスへひとっ走り?」
「ここからゼウスって、遠いよね? おくるまはシオンがもってっちゃったけど、大丈夫?」
「大丈夫。ちょっと長くなると思うけど、もし誰かが傷付けたら——」
風蘭は真白の(駄目な意味で)良い笑顔を見た。効果は抜群だ。
「話は変わるが、今日……と言うか今、外には誰がいる?」
「ふぇ? えーっとねぇ、フラムとごーらい!」
「あー……、なるほど。ありがとう」
ダイスが大変なことに、真白は窓から外を一瞥してから部屋を出た。
武士(詩音愛カンスト勢)と二代目ツッコミ要員で繰り広げる防衛戦(一方的防衛攻め)はあと数分で片付きそうだ。
「終わったら、地面直してから地下だな……」
そう呟いた真白が次に視界に捉えたのは、心も服も真っ黒な日向の姿だった。ぼそぼそと今夜の献立の構成を考えながら台所と廊下を往復している。
ここで生活を始めてから数か月経過する。珍しくグラギエスにいる面子は今蓮を除いても半分近くがいない。
千破矢はだいぶ前にカインらとともに修行の旅(?)へ。詩音、デジェル、アステルの3名はゼウスへ突撃。片方は実父にボコられ、片方は吸血鬼が無双劇を楽しんでいる。
——まあ、とりあえず。真白的見解から見ても関わりたくない雰囲気を醸し出していた(長くなりそう)だったので、目の前でうろうろしている日向に今は近寄らないことにした。のに。
「あ、真白!」
「え」
正直全力で逃げたかったというのは真白談。
「……どうした?」
「晩御飯、どうしようかなって。人数が今日少ないからさ」
「カレー」
「絶対今適当に考えたよね!?」
「僕は常時カレー食べたい子だからカレーで」
「何その設定知らない!!?」
ぷちツッコミ要員の日向はなんだよそれと言いながらくすくすと笑い出す。
「なんだかね……」
日向が口元置いていた右手を下ろし、同時に真白は首を傾ける。
「ここで蓮が結晶化して、真白がその部屋氷漬けにして入れなくされた時はちょっと、凄く真白のこと恨んだんだけどさ」
「それは考えた」
「ちょっとだけだよ? 恨んだのは」
「呪いの割合が凄くに当てはまる、と」
「呪ってないよ?!」
早くも「ちょっと凄く」に固着している真白を放置して日向は続けた。
「今は感謝してるんだって、伝えようと思って」
「? それこそ僕は恨み続けられることを覚悟してたのに。泥沼の魔女として?」
「待って何その泥沼の魔女って」
「昔読んでた絵本の、悪役に当てはまる人物」
なにその絵本怖い。日向は某マーメイドな童話に出てくる魔女で妥協した。
「って、そうじゃなくて。だから、その、ありがとね。僕をあそこから引き離してくれて」
「……こちらこそ、感謝する」
真白は少し、口角を上げて見せた。