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Re: EUREKA ( No.26 )
日時: 2015/01/06 23:19
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)


「えっちょ、ま……はい!?」

 蓮の声に、その場にいる全員が共感する。
 豪雷の家——雷獣の故郷に来たものの、建物は崩壊寸前、人は誰もいない。

「俺の村は、少し前に竜人に襲われ壊滅したんだ」
「……竜人と、雷獣。雷獣の方が強い筈だが?」
「総攻撃に敵う訳がない」
「あの時は酷かったですもんねー」

 詩音は馬を停止させ、浮遊して村を見渡す。

「——昔、よく遊びましたね」
「? この前言ってた、幼馴染み? のお話??」
「ええ、そうです。私の家も、この近くにあるんですよ」

 上空で風蘭と詩音が会話をしている時、鈴芽と真白はとあることに気付く。

「ねえ、ましろん」
「ああ、僕も突っ込むべきか迷ったんだ。タイミングを逃し過ぎて」
「だよね。突っ込んで良いよね」
「ああ」
「「トリッカとノッコーク、通ってなくね?」」
「「「「あっ」」」」
「「ね?」」

 しばしの沈黙。

「でもまあ、良いじゃん。うん」
「だよね。さっさと豪雷の刀? とっちゃおうよ。フラグ出現&回収前に」
「それこそフラグだ気付け蓮」
「2人とも、行くよー!」

 日向が上空の2人を呼び、村に入る。


 *


「俺の家は、あれだな」
「でっかーい!」
「昔から変わりませんね。無駄に広いです」

「無駄に小さい俺の家よりは」
「無駄に過保護なあたしの家よりは」
「そもそも家がない僕よりは」
「家なのかすらわからない私の家よりは」
「「「「マシだから!」」」」

「あ、あぁ……」

 千破矢、鈴芽、日向、蓮のハモり具合に豪雷は呆れるほかなかった。

「じゃあ、とって来るから待っておいてくれ」
「1人で行くの?」
「ああ。トラップが仕掛けてあるからな」
「忍者屋敷!?」

 詩音は豪雷に違和感を感じる。

「豪雷。私も同行してよろしいでしょうか。拒否権はありませんが」
「いや、しかし……」
「あなたの家のトラップを全て回避した私ですよ?」
「……」

 詩音は真白を一瞥すると、豪雷を家に押し込んでから建物の中に消えた。

「はあぁ……」

 それを見送ると、真白はわざとらしく溜め息を吐き、右手の中指を立てる。

「蓮は風蘭と日向を守護。千破矢、戦闘態勢」
「え!?」

 蓮が驚き、真白を見る。
 それとほぼ同時に別の建物から複数の竜人が出てくる。

「なんだよ。バレちまったか」
「嬢ちゃんただものじゃねェな」

 そのうち近寄って来る2体に、真白は不機嫌そうな顔をして

「僕ではなく、詩音だ。それに——」

 パンッ。
 軽い音を響かせ、辺りが静寂に包まれる。
 少しして、竜人の背後から薄く煙があがり——

「嬢ちゃん、って。やめて欲しいな♪」

 いつもとは似ても似つかない、楽しそうな笑みを浮かべて銃声を響かせた少女は、首を傾けたのだった——。