コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: KEEP THE FAITH ( No.266 )
日時: 2017/04/17 20:55
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)


「外が騒がしいな」
「はは、ゲシュテンペスト来たんじゃないですか?」
「そこまで騒がしくはない」
「へえーマジっすか。午前3時に叩き起されて寝起きだなんて関係なしに戦場へ駆り出されたオレには何もわかりませんスヤァ」
「おつかれ」

 フラムは犠牲になったのだ。日向は机に突っ伏して即行で眠るフラムから全力で目を逸らした。ある意味その原因である真白は相変わらずの表情で山積みになった本をぱらぱらと捲っていた。

「ありがとね、大変だったでしょ」
「んー。礼ならフラムに送るべきだろう。僕の独断と偏見で叩き起された被害者だし」
「自覚はあったんだね……」
「だって豪雷は僕と別のタイミングで出したいし、鈴芽は美容か何かで無理だろうし、風蘭と日向は戦えないし、……フラムだなぁ、って」
「否定が出来ない件。そういえば、豪雷は? 今朝から見てないけど」
「うん。僕らと交替で遊撃隊してるよ」
「ゆ、遊撃隊……?」
「ぼっちで」
「ぼっちで!?」

 それは“隊”ではないというツッコミはフラムの胃袋に蓄積された。
 そう。鈴芽と風蘭に見張りを任せてからゲシュテンペストの数が減ったのは向こうが引いたのではなく、こちらの遊撃隊ぼっちが殲滅しているからなのだ。

「えっ、いつの間に?」
「本人から言われたからな」

 がたん、ばたん。酷い音をたてながら鈴芽と風蘭が帰還する。

「ただいまーっ!」
「おかえり。どうだった?」
「千破矢と詩音がゲシュをinterceptしに向かいました!」

 ビシッとポーズを決めながら鈴芽が報告すると、開きっ放しの扉をさらに押し開けながらアステルが部屋に入って来た。——何故かデジェルを所謂お姫様抱っこの状態で抱えながら。

「ホッ……うっあああああやばい待ってやっばい吐く」
「ふぇっ!? すずめ大丈夫!!??」
「大丈夫じゃないよ。彼女の病気はもう治らない」
「ふぇえええええっ!?」

 アステルはだってこの方が楽なんだもんと言いながらソファにデジェルを下ろす。それとほぼ同時にぴょーんとそちらへ飛ぶのはフラム。

「デジェル様どうしたんですかああああああああ!???」
「暇すぎたんだろうね。寝ちゃったよ」
「そうなんですか。良かった……」
「それにしても、この子はよく寝るね」

 ふいと真白に視線を向けると、すぐに気付いた彼女はデジェルに視線を移し——あれ?と声を出す。

「デジェル、また髪黒くなってるね……?」