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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: KEEP THE FAITH ( No.268 )
- 日時: 2017/06/15 21:48
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)
数年前までは街であったはずの瓦礫の中に1人少年、豪雷は座っていた。
藍色の髪を束ねた、暗い青の目の彼は今——絶賛ハッスルしていた。心がピョンピョンしていた。ウハウハだった。
理由として挙げられるものは大きく分けておそらく2つ。1つは詩音帰宅の気配を感じてのことだろう。断じてそういう関係ではないが。2つ目は蓮の結界が壊れたことによる突然の開戦命令。しかもぼっち。ちょっと寂しいが遠慮なく潰して良いぞと言われたのでありがたく城を飛び出したのは朝日が昇る前の出来事だ。
まあその結果として刀はものすごい色に変色してしまってはいるが。
「くくく、弾けろ、俺のシナプス……!」
そして謎に厨二堕ちである。弾けているのは間違いない。傍から見たらキチでしかない。
ちなみに彼の足元では十人十色を体現したような容姿のゲシュテンペスト達が山になっている。その上に青系統一色の武士1人と言うのもシュールな光景なわけだが。
とにかく見ればわかる程度に豪雷は働いていた。ぼっちとは思えないほどには城に近付く敵を殲滅していた。むしろどうやったと言うほどに。
豪雷は深く息を吐くとゆっくりと立ち上がる。
「よし……、行くか」
血みどろの刀を引き摺りながら再び歩き出す彼の姿はゾンビのような、そうでないような。闇落ちをしたわけではないのに酷い光景である。
数分後、詩音と千破矢が返り血(?)塗れの豪雷を発見&保護するわけだが、それはまた別のお話。
*
暗い、暗い部屋の中、ずるりずるりと音を立てながら、男は独り呟いた。
「——待っていたぞ」
赤とは到底言えないような闇色の髪を揺らしながら、自ら切り離した脚を睨み付ける。
「ツクヨミレン——オブ・ルクスの、“結界”」
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