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- Re: KEEP THE FAITH ( No.269 )
- 日時: 2017/06/24 17:25
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)
「髪が黒くなってる……って、別に染めたとかじゃないよね」
「デジェル様はどんだけテンション昂っても髪は染めませんよっ! ……やっぱ何かあったんですね?!」
「いやこれと言って特には……ないはずだよ?」
アステルは首を傾げながら不思議そうに答える。
——ゼノに捕まって突貫工事間違いなしな塔に監禁されてこの台詞である。
「デジェルの髪は前も黒かったよね。たしか、魔王討伐だーってみんなが頑張ってた頃だったはず。少しずつ元の色に戻ってんたけど……」
「そうなの? オレ千暁以外の部下まともに見たことないからなぁ。そう言えば彼が言ってた使える手駒ってデジェルのことかな。ならワンチャン乗っ取りとか来そうだねぇ」
「「「……」」」
「「「それだあああ!!!!!」」」
話を理解した面子は一致団結して叫んだ。
これまでの情報からまともにやり合ったことのない彼らでも“千暁”のヤバさは理解している。その彼がここへ来る可能性は十二分にある。何故ならここには散々利用した駒も、盾である魔王もいるのだから。
アステルと話をいまいち飲み込めなかった風蘭は思わず耳を塞いだ。
「な、なんだよいきなり……どういうこと?」
「今あんたが言ったことそのままですよっ! 千暁さん攻めて来たらオレら流石に無理ですよ!!」
「えっそうなの?」
「そうなのじゃないよ! むしろthe highest priority!! 最優先事項だよ!!」
ごちゃごちゃと質問責めされているアステルを横目に真白は頭を抱えていた。
千暁が攻めて来ることは想定していた。ここを落とすことは彼にとってメリットの山だということも。しかしその際にデジェルが“どうなるか”。全く考えていなかった。完全に不覚を取った。
「……とりあえずデジェルは寝てるだけ、なんだよね?」
「うん、そのはずだけど。……なんかみんなの反応見てると心配になって来ちゃったな」
「そこは自信持って下さいよォ!!」
パニック状態のフラムに胸倉を掴まれているアステル。風蘭は慌てながらもフラムを止めようと奮闘している。
鈴芽はちらりと真白を見やり、それからデジェルへ視線を移した。
「とにかくさ、今はみんなグラギエスにいるんだよね? ニベアたちは除いて」
「え? ……ああ、そうなるはずだけど」
「じゃあ一旦みんなが帰ってから、改めてそのことをconferenceしよう? そろそろだしあたしはdinnerのお手伝いしてくるね!」
時計を指差しながら鈴芽はアイドルスマイルを撒き散らして部屋をあとにする。6時。そろそろ日が暮れる。
朝一から殲滅命令を下されたバーサーカーもとい豪雷はそろそろ詩音達と合流しているだろう。
「確かにそうだね。オレもそろそろお腹が減ったよ」
「ふうもお腹減ったなぁ〜! フラムもスズメとヒナタのお手伝い行こうよ!」
「えっ?! ……ま、いいよ! じゃあ厨房まで競争!」
きゃっきゃと騒ぎながら鈴芽を追いかける2人を見送り、残された2人は思わず苦笑を浮かべたのであった。