コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: EUREKA ( No.3 )
- 日時: 2014/12/14 05:18
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: lQjP23yG)
ここはなんの変哲もない小さな村。
そこで物語は幕を開ける——
その小さな村——ベーラにて。
白と紅の巫女服と茶色の腰より上で結われた髪の毛の少女が村の真ん中の掲示板を見上げて明るく問う。
「ね、ましろ。ここであってるんだよね?」
「ここで……あってる。間違い……ない……」
対して、「ましろ」と呼ばれた白髪(はくはつ)の少女は気だるそうに呟き、掲示板に背を向け続ける。
「——ちはやとヒナタ……は、その辺……の建物で、情報収集……だった……な?」
「そうそう! なのに全然帰って来ないよ? あーもうっ、私も散歩しよっかなぁ!」
「蓮……。暑い……、……つかれ……た……」
ほぼ苦し紛れと言っても過言ではないほどに、真白は疲れ切っていた。
「あ、そっか。ましろは暑いの駄目だったよね。ごめん……。えっと、じゃあ、役場で待っといて!」
「わかった……」
真白は氷の種族——すなわち、熱が天敵である。
巫女服の少女——蓮は人間のため、だいたいの気温には適応するため、特に問題はない。
真白が役場に入るのを見届け、蓮は独りごとを発した。
「——それにしても、皆遅いなぁ……。シオンたちはともかく、豪雷は時間とか守りそうなんだけど……」
蓮はむう、と頭をおさえながら民家の前を歩きまわる。
しばらくすると、背後から声が聞こえた。
「レン! ごめんね、少し手間どっちゃって……」
「すまねぇ、ちょっとヤバいやつと遊んでたんだ」
男性にしてはやや長めの黒髪の、青い瞳をした少年と、腰よりも下の赤毛と、赤い瞳の少年が同時に蓮に話し出す。
「……ごめん、言ってることが矛盾してるのは、別行動ってことで良いのかな」
その一言に日向は思わず蓮から目を逸らし、千破矢は苦笑した。
「まあいいや。どうだった?」
「それがよ、あいつらのいる方向ってのが——」
「はぁぁ!!?」
「もしあいつらがここに入っていたらヤバいんだ。どうする?」
「んー……。行くだけ行ってみよう。でも、ましろに連絡しなくちゃ……」
周りの視線などそっちのけで騒ぎだす赤毛と茶髪。その2人をおさえるように日向が言う。
「僕が真白さんと一緒にいるから、2人は早く行った方が良いよ」
「……おう、わかった」
「日向なら大丈夫だね! じゃあ、ちはや、行こう!」
2人が走って村から出るのを見送り、日向は役場へと足を進める。
——あいつらのいる方向ってのが、魔物の巣窟らしいんだ。