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- Re: EUREKA ( No.31 )
- 日時: 2015/01/17 02:05
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
——森の奥へ行けば暗くなり、自分自身の姿が目立ち、竜人と遭遇する危険性が高まる。
「…………」
風の音に、真白は肩を震わせて顔をしかめる。
真白は詩音との会話でふたつ、嘘を吐いた。
1つは竜人の種族——魔法。
そしてもう1つ。竜人には一部、夜行性がいる。
——この森に住む竜人は、夜行性である。
「……まだ」
右目を閉じ、左目で周りを確認する。それから少しずつ進む。
真白は数十分間、その作業を繰り返していた。
少しして、目的地が近付いたところで真白は1度両目を閉じ、開眼とともにその場を駆け抜ける。
真白は素早くその場の果物を回収し、
「フロッケ」
囁くように唱えると、右手の中指を中心に氷のカゴができる。
ある程度(キノコ含め)カゴの中に入れると別の呪文を唱える。
「……フェアシュヴィンデン」
氷属性ではないこの魔法。あまり使ったことのない魔法のため、体力・エーテルを多く使ってしまう。
効果は“姿を消す”。文字通り、真白の手には何もない状態。
「う……。——ッ」
吐き気と頭痛に襲われ、その場で立ちすくんでしまう。
直後、強い衝撃が真白を背後へ突き飛ばした。樹木に体を打ちつけ、真白は状況を確認する。
——奇襲。その結論を即座にはじき出し、次の攻撃を予測。この近くに住む竜人の属性は——土。
地面に落ちる寸前だった体は、根を勢い良く蹴り上げることで宙へと舞う。
「——チッ」
どこからか舌打ちが聞こえてくる。
当たり。そう判断した真白は太めの枝に捕まり、
「アイス・ツァプエン」
こぶしひとつ分の尖った氷が地面へ落ちる。土へ落ちたと同時に、土は水のように波紋をつくり、氷は煙とともに消えた。
「あ……」
あそこに落ちていたら——。そう考えてさらに吐き気を覚えながら、真白は目を閉じる。
——枝から手を離すと同時に、樹の幹を蹴り飛ばし、その場を離れる。
「——へぇ、頭良いね、あいつ」
「そうだな。だが、気付いたわけではないようだな」
「うん、そうだね——」
「——敵は、1人じゃない」