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- Re: EUREKA ( No.32 )
- 日時: 2015/01/17 02:45
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
不快な風を感じ、風蘭は目を覚ます。
「……しおん?」
「風蘭、どうかしたのですか?」
「あのね……、なんか、やなかんじの……かぜが、ふいて……の」
かすれたような、泣きそうな表情で言う風蘭に、詩音は心当たりを覚えた。
詩音は頬笑み、風蘭に視線を合わせてから
「大丈夫です。風蘭は安心して、眠って下さい」
「でも……ね、ふうね、このかぜ、しってる……」
「……」
「おかーさんとね、さいごにはなしたあと……、こんなかぜがふいたの……」
「……シュラーフ」
呪文とともに眠りに落ちる風蘭に、詩音は複雑な表情をする。それから荷車全体を見渡し、千破矢とその上に転がっているロボット2体を凝視する。
普通に考えてロボットには必要ないはずの睡眠機能を、真白はご丁寧に付け加えていて、普通に寝ていれば、小動物にしか見えない。
「真白、大丈夫でしょうかね」
色々な疑問や不満を抱えながら、詩音は真白の無事を祈る。
*
「——ねぇ、今、どんな気持ち?」
「……」
「言わないと、分かんないよ?」
巨木にツルで縛り付けられ、身動き一つ取れない状態の真白に、少年は1人、クスクスと笑う。
「あのさ、ボクのこと、嫌い?」
「……大嫌いだ」
「あっそう。残念だなあ」
深緑色の髪の少年は、地面に生えている草を一本抜き、
「ナーデル……、ってね♪」
草は一瞬にして、銀に光る針へと姿を変えた。
「君さ、ヒョウキでしょ?」
「……」
「ね?」
「……だとしたら?」
「欲しいな、って。まあ、君の場合は確定しちゃってるけどね」
少年は真白に顔を近づけてニッコリと微笑んだ。
「普通、ヒョウヘイは別属性の魔法を使ったら、死んじゃうんだよ? ミツバチみたいに、ね」
「……」
「——本来はさ、売りさばかれちゃうんだけどね? ボクは優しいから、君を売ったりしないよ? ただ——」
「永遠にボクのモノにするけど、ね」