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Re: 【アンケート】EUREKA【実施中です】 ( No.40 )
日時: 2015/01/28 17:37
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)

 影のような姿と血のような巨大な瞳を持った、巨大な獣——フェルーム曰く“トイフェル”と呼ばれたそれが路地裏から飛び出してくると、大人は逃げ出し、残った子どもが逃げ惑う。
 無論、逃げ出した大人より、非力で逃げ遅れた子どもが標的となる。

「ニーダー・ブレンネン!」

 突如、トイフェルの体に火がつく。そして、奇妙な断末魔をあげて消滅した。
 ——千破矢の魔法は化け物とともに消滅するはずが、そのまま燃え上がる。

「あ、そっか。グルート」

 中指を口元に当ててそう呟き炎の消滅を確認すると、数人の子どもたちに近寄り

「大丈夫……か?」

 謎の千破矢演技を開始しようとするin真白に、真白の叫びが飛ぶ。

「お前っ、俺のエーテル無駄使いすんじゃねえええええええええ!!!!」
「黙れ真白モドキ」
「モドキっ!?」

 子どもたちは真白の怒号に震えだしたが、少し落ち着いてから、声をあわせて、「ありがとう」と言い走り出す。
 千破矢はそれを見送ると、真白の隣をとことこと歩いてきたフェルームを抱き上げる。

「今のは何かわかったか?」
『といふぇるなのぉ』
「ここまで来てるのか……」

 風蘭は地面から飛び、だいたい千破矢くらいの高さをキープて消し炭となった“トイフェル”を見つめる。

「トイフェルって何だ?」
「ふうね、トイフェルって言葉、聞いたことあるの」
「えっ、誰から聞いたんだ!?」
「お母さんがね、いつも言ってたの。“早く寝ないと、トイフェルに食べられちゃう”って」
「あながち間違っていないだけ、風蘭の母は悪趣味だな」

 千破矢は苦笑して、消し炭のあとを砂を蹴って埋めた。

「まあ、単刀直入に言えば、“トイフェル”っていうのは悪魔で、魔王の手下である」
『はっ』
『ニベアーおはよぉ』

 あと一瞬説明が遅れていたら、ニベアはまた機能停止していたのだろう。
 すると、子どもたちが去って行った方から、数人の人影が走って来るのが見えた。

「あっ、シオンーっ!」

 風蘭はニベアを真白にパスして人影——シオンたち“バイト探し組”に向かって走り出す。

「大丈夫でしたか? 先ほどこの辺に化け物が出たと言う情報が入ったのですが」
「んとねっ、ちはや……ましろんが魔法で倒してくれたの!」
「そうですか。あと、それのことなんですけど」

 詩音は風蘭に引っ張られて千破矢たちのもとへ移動すると、

「タウシュ」

 そう唱えると千破矢と真白の体が入れ替わる。

「うわっ戻った!!」
「反対の反対的なやつですよ」
「そんなこじつけで良いのか……?」

 そうすると、蓮たちと+1がやって来る。

「……あれ? そのおじさん、だあれ?」
「気付かなかったの!?」

 日向が風蘭に突っ込みを入れると、そのおじさん——と言っても年配のお爺さん——は苦笑を混ぜた笑みを浮かべ、

「元気なのは良いことです。あなた方がお仲間と言うことでよろしいですか?」
「あ、はい」
「では、引き受けてくれるのですか?」

 その言葉に豪雷の顔が青ざめ、詩音はとても良い笑み(悪い笑み)を浮かべる。
 そして、作者の小説恒例行事と言っても過言ではない一言が発せられる。

「——劇をお願いしても?」