コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: EUREKA ( No.5 )
- 日時: 2014/12/15 15:41
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
「——おかしい」
「へ?」
役場の入り口付近に据え付けられた椅子に座り、眠っていた真白が唐突に目覚めて一言。日向が驚くのは当然である。
「ここはクーラーも効いている。のに、なぜか暑い——っ」
「えっ、ましろ? どうしたの?」
真白は立ち上がり、役場の扉を開ける。
「魔族の襲撃だー!」
「違うっ、これは竜人の——」
扉の外に広がっていたのは——地獄絵図だった。
十件ほどあった木製の家はそれぞれが炎を噴き、煙で視界が薄くなっている。そして、人間が地面に倒れ、それに見向きもせずに行進する人影——竜人がいた。
役場の中にいた人々の悲鳴を聞き、真白は一度、扉を閉める。
「竜人、と考えると……炎属性……で、……相性が悪いな。ヒナタ、指示を」
「僕!? えっと、相手の情報が足りないんだけど」
「相手は今見ただけだとおそらく5体、竜人ならその数でもこのくらい可能だろうな」
「なるほど。えっと、倒せる?」
「一応」
「じゃあ、死なない程度に。僕は応急処置かな」
真白は扉を再度開けると、そこには引きつったような笑みを浮かべた竜人がいた。真っ赤な翼がいくつか焼け焦げている。
「なあ……、オレら、間違ってんのかな」
そう言いながら、竜人は異様に長い爪を真白に向かって振った。
それを軽々と受け止め、真白は苦笑した。
「別に間違っていないだろう」
——僕にとっては間違ってる、ってだけでさ。
竜人はそのまま凍りつき、建物の外の人間と同じように地面へと落ちた。
同時に建物全体の気温が下がる。
「じゃあ、ヒナタ。こいつの手当ても頼んだ」
*
「えっと、たしかこの近くだよね?」
「いや、森出てからまだまだ歩くぞ」
「マジですか」
もう少しで森から出る。そんなところで千破矢のみが気付いた。
「なんか今、凄い寒気が——ごふぉっ!?」
直後、千破矢の腹に蹴りが入った。
千破矢は蹴りを入れた張本人——真白と共に5メートルほど後ろへ下がる。
「あ、ましろん! 久しぶりー!」
「えっと、どうしたんですか? その怪我?」
鈴芽は真白に手を振り、詩音は苦笑しながらも一応真白の服の袖から見える紅に目を向けた。
「ベーラが崩壊。原因は竜人の襲撃によるもの。死者4名、重症2名、なお、これは竜人も含めたものである。と言えばわかるか?」
真白は千破矢を踏みつけながら振り返る。
同時に全員が黙り込む。ただし千破矢は腹へのダメージで悶えているだけ。
少しして、日向が息を切らしながら走って来る。
「ゲッホゲホ……っ、えっと、みんなベーラのこと聞いた?」
「……ついさっき報告した」
真白が頬を膨らませると、蓮はさっきの空気を壊すように笑顔で言った。
「そっかー。まあ、一応合流できたし、行こっか
——魔王を倒しに——」