コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 【アンケート】EUREKA【実施中です】 ( No.53 )
- 日時: 2015/01/31 08:38
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
- 参照: 作成時間八時間(ほぼオール)でこの出来だよ……。
*番外編
+ウタカタノスタルジア+
「あのねっ、しろ、おっきくなったら、——になるの!」
「ふふ、必ずなれるわ。だってあなたは————」
——なん、だっけ?
“キボウ”って何?
“ココロ”って何?
“カラダ”って何?
“オモイデ”って何?
“ミライ”って何?
“スキ”って何?
“キライ”って何?
“アイ”って何?
まわりには、わからない“ ”がたくさんあった。
それが“モノ”なのか“コト”なのかはまったくわからない。
しろたちも、ほかの種族の人たちも、その“ ”をつくるためにうまれて“イノチ”をもらったんだと思う。
家族は、とても優しかった。
お父さんはいつも、しろに外の話を聞かせてくれた。はく兄は、しろとたくさん遊んでくれた。メイドさんは毎日、しろのお世話をしてくれた。
お母さんはしろに、お父さんとはちがう話を聞かせてくれた。
お父さんからは、しろたちのお家がふつうよりも大きい。しろは“ヒョウキ”で、“ヒョウヘイ”たちと協力して“氷の里”を元気にしていく。“氷族”の歴史。あと、世界中にいる種族などの社会?にかんするお話。
お母さんからは、魔法の使い方。自分の魔法を制御する方法。“ヒョウキ”として注意しなければならないこと。そして、これはすこしお父さんのお話と似てた。終末のお話。
はく兄が、「お母さんは狂ってる」って言ってた。
最近、自分で自分自身を引っ掻いたり、刃物で切っているらしい。
「はくにい……。——、大丈夫かな……」
「まあ、恐らく……。そう言えば、最近は——見ないね」
「最近魔法教えてもらってない。キュール・グレンツェ」
「……上達したね」
右手を床に伏せて少ししてから離すと、氷でできた人形が出来上がる。
数日後、しろに魔法を教えてくれた人は死んだ。
同時に、お父さんが狂いだした。
何度も殴られそうになったけど、そのたびにはく兄が庇ってくれて、しろはいつの間にか独りだった。
そんなある日。
何かが建物を襲った。
外を見ると、竜の翼と尻尾を持った、水色の生物。多分、竜人、の、氷属性。それらが家に向かって攻撃を仕掛けていた。
——あーあ、もう、面倒臭いなぁ……。さっさと、しろを————
建物の中の氷が乱反射して、足場が崩れて。しろはここから、何も覚えてない。
気が付けば、建物の外にいた。
「あ、起きたんだねっ。——大丈夫? 怪我は……しちゃったよね、ごめん……」
「……」
黒い髪の男の人が、顔を覗き込んできた。
小さい頃から“氷兵”の友だちと遊んだことはあったから、人見知りはあまりしない。でも、その背中には真っ黒な竜人の翼が生えていた。
「あ、えーっと。俺はクロウド・カイン。多分わかるとは思うけど、竜人で、さっきのやつらとは無関係だよ。安心して。……って言って信用してくれるわけないか」
「むぅ……。由利、真白。はく兄は……?」
「……俺が来た時には、もう手遅れで……ごめん」
「んー……、なんで、りゅーじんは家に来たの?」
「竜人としては多分、君の命だね」
「じゃあ、カインさんは、しろを助けてくれたんだね? ありがとう」
「えっえぇぇぇええ!? そこでお礼なの!?」
「ふぇ……? まちがってたかなぁ……」
カインさんは、しろとしばらく話したあとに一言、最後の質問をした。
「真白ちゃん、これからどこかの村まで君をおくるから、それまで一緒に“旅”をしない?」