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Re: 【アンケート】EUREKA【実施中です】 ( No.66 )
日時: 2015/02/15 00:10
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
参照: 私はマフィンを配りに行きました。友だちの男子を護衛に((!?


鈴芽「ぴーんぽーんぱーんぽーん↑」
豪雷「何故俺とお前なのだ……」
鈴芽「やばいグループだってさ」
豪雷「そうか」
鈴芽「えぇっと。これは、あくまでもパラレルで、思考的に1番作者に近いましろん視点。学パロだよ♪」
豪雷「(俺がいる意味ないよな)」
鈴芽「ちなみに学パロなのは主に作者の勢いとノリ、あとは大人(?)の事情だよ! そして2600字超えたよ」





 今日は“バレンタインデー”らしい。
 といっても僕に友だちなんてほとんどいない。故に、小さい頃から友だちの6人に“チョコレートクッキー”を渡す予定。
 事前に情報は聞いていたので本などの情報をかき集めて作った。見た目はそこそこだとは思うが、味は正直保障しない。そして生地の量的に多い。ただただ多い。6(予定)+50個。本当になんだこの量。僕こんなに食べれないよ。両親ともに海外出張でいないし、兄さんは中学校で沢山貰うのは目に見えている。
 とりあえず同じクラスである蓮には最初に渡す予定……。
 家を出発し、角を曲がったところでで何かにぶつかった。

「っ」
「うわあっ! ありがとうございます……あれ? 由利さん?」
「……誰」
「隣の席で、蓮と友だちなんだけど、十六夜日向って言います」
「そうか。蓮と友だち……。では、これを受け取ってくれ」
「えっ、あ、そうか。今日、バレンタイン……。僕にくれるの?」
「ああ、思った以上の量が出来てしまってな。……味は保証しない」
「保障してよ……。でも、ありがとう。大切にするよ」
「食べてくれ」
「はい」

 その後無言で何故か隣を歩かれ教室に入ると、数人の男子が勢い良く振り向いた。
 それを無視して席に着き、前にいる蓮にチョコクッキーを渡しながら話しかける。男子たちの視線と騒ぎ声なんか気にしない。

「おはよう」
「おはよ……、ありがとう! わあ、珀先輩は料理上手だけど真白も出来たんだね?」
「見よう見まねだ。保障はしないぞ」
「おはよう、蓮」
「おはよ、日向! あれ? 真白と日向、仲良かったっけ?」
「いや、今朝少々ベタな出会い方をして、そこから知り合った」
「ほんの10分前からでしたか。良かったね、日向。美人さんからプレゼント貰えて」

 チャイムとともに、教室が静まり、先生が入って来て授業が始まった。

 *

 昼食を食べ終わり、蓮と日向の3人で残りのお菓子を配りに行く。下校時刻の問題で風蘭を優先させる。その途中で、兄さんとそれを取り巻く男女たちに会ってしまった。

「由利先輩っ! これ、受け取って下さい!!」
「この前のテニス、凄く良かったです!」
「由利っ、君が欲しい!!」
「!?」

 何やら同性愛者がいたようだが。
 そして兄さんは僕の存在に気付いてしまったようで。

「あ、真白! ちょっと、待ってて」

 正直来るなと思った。だって、目立ちたくないし。

「私たち、先行ってて良い?」
「駄目。放置、駄目、絶対」
「いや、何かそれ違くない!?」

「ごめんね、今日一緒に行けなくて」
「問題ない。練習があると言っていた。……ところで、兄さんは甘いもの得意なのか?」
「いや、正直得意じゃないかも。まあ、真白がくれるんだったら貰うけど」
「49個」
「うん、いらないかな」

 全力で断られた。

「あっ、今日は晩御飯の当番どっちだっけ?」
「兄さん。カレーでお願いします」
「了解。出雲さんと、新しいお友だち? 真白をよろしくね」
「勿論です!」
「ぇあ、はい!」

 直後、「待て」の指令を突破した兄さんの下部たち(確信)が寄って来た。2人を連れてやっとのことで風蘭のクラスへ辿り着く。

「ふうらーん」
「あっ、ましろん! れん! ……だぁれ?」
「ふはっ」

 珍しく1人で読書をしていた風蘭は、すぐに僕たちの存在に気付き駆け寄って来た。

「バレンタインチョコクッキー、持って来た」
「チョコクッキー? あっ、ふうも準備したよ!」

 そう言うと、制服のポケットから飴を3つ取り出して笑顔で言う。

「でもねっ、数の分だけしか持ってきてないの……。だから、誰かに我慢してもらわないと……」
「そこは問題ない。僕は正直それを貰いたいので、その分千破矢には僕のクッキーを多めに送る」
「ありがとう!」

 千破矢には少し申し訳ないが、まあ良いだろう。……というか風蘭を困らせたくない。

「あ、他にも渡すの?」
「まだ蓮と風蘭と、十六夜日向、コイツにしか渡してない。西園寺先輩のところまで一緒に行くか?」
「う、うん! 行きたい!」

 西園寺詩音——御曹司とか言うもので、金持ちらしい。本人曰く「来世は平凡に暮らしたいものですね本当に」。両親とも仲が悪いらしく、1週間ほど前まで僕の家に居候していたほど。
 また、一応先輩なので、詩音なんて呼んだら“西園寺ファンクラブ”に潰される。そもそも幼馴染みの僕らは特に目を付けられていたり。
 ついでに猿谷豪雷にも渡す。こっちに関しては詩音をなんて言おうと「詩音の彼氏」「大切な人」「1番の友達」と言いくるめられる。理不尽。

「はーい来ましたよー西園寺先輩と猿谷先輩ぃー」
「なんですかその気だるそうな——」
「何よその言い方!」
「西園寺様にその態度! 大罪ですよ!?」
「先輩、ハッピーバレンタインデー」
「ありがとうございます」
「む、ありがとう」
「「無視!?」」

 ×無視した ○何もなかった
 詩音も豪雷も笑顔で受け取ってくれたため、問題はない。
 丁度そこに、見覚えのある女子が入って来る。

「あれ? みんな、ここにいたんだね!!」
「鈴芽。どうしたんだ?」
「そりゃあ、バレンタインチョコを配りにはるばるやってきましたって、それ、ましろんが作ったの!?」
「ん? あ、ああ。鈴芽の分もある」
「Thank you! もっちろん、あたしもみんなの分作ってきたよ!」

 鈴芽が紙袋からチョコレートを取り出した。
 ——そして、あとは千破矢だけとなったところで昼休みの終わりを告げるチャイムがなった。


 *


「なぁああんで俺だけ渡してくれねえええんだよおおおお!!!」
「すまない遅れた。……………………好きなものは最後にとっておくタイプなんだ」
「許す」

 放課後教室に飛び込んでくると同時にひっついてくる千破矢をひきはがし、クッキーを2袋渡す。満面の笑みを浮かべる千破矢をみて、なんだかもうどうでもよくなる自分がいた。
 本命チョコ、友チョコ、義理チョコ。ほぼ全て友チョコだったとかそんなことないとか思いながら、下校する。
 ——下校して、兄さんにクッキーを残り全て渡した時の表情と、その時に思った「これは何チョコだ?」という疑問は僕の中では忘れられない思い出となるだろうな(確信)。