コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: EUREKA ( No.86 )
- 日時: 2015/03/09 21:00
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
- 参照: 安定のチート真白です。
真白にとって、探知能力と言うのはただの飾りでしかなかった。ただ相手の動きを読む、戦術でしかない。
だが今となってはその能力に心底感謝している。この能力がなければ、これまでも危険だらけだっただろう。そして今、この能力がなければそこで起こったことを把握することも出来なかったし、カインを見つけ出すことも出来なかった。何より今こうして、最悪な事態を避けることができた。
見つけ出した時カインは無防備に空へと放り出されていた。その光景に真白は一瞬、思考を停止させてしまった。気が付けば砂漠の上を自分でもありえない勢いで駆け出していた。中指から文字通りの大剣をつくりだし、地面に突き立てた跳躍は小さい頃に一度試したことがあり、普通の人——氷姫には考えられない程に高かった。蛇の頭上にあったカインを横抱きにして掻っ攫う。それは所謂“お姫様抱っこ”であり(ただしこの状態は“お姫様が抱っこ”なわけだが)、真っ先に相手から文句を飛ばされそうな姿勢だが、相手から返事が返って来ることはなかった。
「……しっかりしろ!」
地面に着地すると、後ろで大きなものが動く音が響いた。
腕の中の、うっすらと開かれていた瞼は徐々に落ち——
「——ごめ……ね」
か細い声を最後に、カインの意識は闇へと沈んだ。
その言葉は誰に——何に向けられたものなのか。弱り切った姿に真白は“よくわからない”感情を覚えた。
カインの呼吸は荒く、気候のせいもあり伝わる体温は高い。真白の言えることではないが、水属性の種族は熱に弱い。額からは汗が滲んでいた、真白の脳内では只管に“危ない”という言葉がリピートされていた。
コートを脱ぎ、カインをその上に寝かせる。真白が呪文を唱えると、そのコートは空間を開けてカインを包み込んだ。それは降り注ぐ太陽と熱気と、それから攻撃の反動を防いでくれるだろう。
真白が右手を上に上げると、手元に先ほどの大剣が飛んで来る。それが手に収まった瞬間、大剣は姿を変え——次に現れたのは、先日とは違い氷は纏っていないが、前とは桁違いに巨大な——それこそ振り返ればそこにいるだろう大蛇の大口よりも大きい斧だった。
「——我が兄に手を出した罪、その命で償え!!!」
そう言って振り返ると同時に、真白を飲み込もうとしていた大蛇の口へその斧をフルスイングしていた。
(※台詞が少な過ぎてあれですが、文字数900超えてます←)