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Re: EUREKA ( No.87 )
日時: 2015/03/10 14:03
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
参照: 暑さに慣れてしまう氷族


 そのまま斧を手から離して蛇が口からパックリ裂ける。少ししてから冷風が返って来た。
 くるりと方向を変え、真白はカインの隣に座った。

「……ッ」

 コートをはらうと、眉にしわを寄せて身じろぐカインが視界に飛び込む。ちょっとしたかすり傷があるが、右腕に存在する傷に違和感を感じた。見ただけでは矢で掠ったような些細なものだが、よく見るとそれを中心に黒い茨のようなものが見える。
 最初は熱による疲労が原因だと思っていた真白だが、その傷を見て考えを変える。これは力を持ったカインを確実に倒すための“策”なのだろう。——出来ることならそいつを潰してやりたい。

「さて、と……」

 今、詩音が気を利かせて追って来てくれているだろう。荷車で。
 それまでに出来ることは——

「ベハンデルン」

 かすり傷が消えるのを確認し、次は銃を取り出す。それを上に向かって連続発砲すると、目を閉じて探知を開始。

「……近ッ」

 そう呟いた頃、背後から千破矢の怒鳴り声が聞こえて来たという。


 *


「なるほど……。私たちを完全放置して疾走するのにも納得できます」
「……ごめんなさい」

 荷台の中で土下座する真白とそれを見下すようにそれを見つめる詩音。ちなみにそのすぐそばで千破矢と風蘭が震えており、さらに奥の方では蓮がカインの腕の傷を見ている。なお、残りのメンバーは操縦席で悪戦苦闘の末、鈴芽の催眠を発動させていた。

「あの後大変だったんですよ? 千破矢は真白がいなくなった途端発狂し出すわ、ロボット2体は熱で機能停止するわ、それを見た風蘭が泣き出すわ……」
「「「申し訳ございませんでしたっ」」」

 蓮が振り向くと、3人揃って土下座しているこの状況。——何があった。

「それならいつも通りなのでわかりますよ。そこから急いでたら、すごい速さで何かが通りすぎてその反動で荷台1回転して——」

 詩音の話はまだまだ続く。
 蓮は無言で真白を回収。カインの隣に座らせ、コートを返した。

「一応毒は取っといたけど、素晴らしいまでに疲労してるね。休みが必要かなぁ」
「そうか。……ありがとう」

 だいたい話終わり詩音は真白がいないことに気付く。だが文句を言うことが出来たのでもういいやと一息。風蘭の頭を撫でながら欠伸をしていた。
 やっとのことで、一行は砂漠を抜けるのであった——。