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Re: EUREKA ( No.90 )
日時: 2015/03/12 23:14
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)


「……反省の言葉を」
「すまない。本当にすまなかった……ッ」

 ただいま反省タイム。ちなみに鈴芽も本当はその場にいなければならないのだが、卒倒してしまったため不参加。真白はそんなことどうでも良いと言わんばかりにカインの隣で黙々と読書。ちなみにこじつけだが氷族なので酔いません。ついでに言うと今現在ニベアに教えた操縦方法を根性で覚えようと四苦八苦しているの日向は第3の運転手候補である。

「ねえねえ、ごーらいとシオン、何かあったの?」
「……世の中には知らない方が良いこともあるんだよ。うん。風蘭にはまだ早い」
「?」

 ある程度情報を持っている蓮が穏やかな笑み(ただし威圧)を浮かべて風蘭に対応する。
 ——午前九時。千破矢起床。

「な、何だこの空気……。おい、患者増えてるぞ真白どういうことだ」
「……偶然と不可抗力と運命が同盟を組んだ。それだけだ」
「わけわからんぞおい」
「我が軍は黙秘権を行使する」
「あ、ああ。なんかごめん反省してる許してくれ」
「……ちなみにこれは関係者に聞いた瞬間、僕直々にビンタだから」
「はい」

 本で目より上しか見えないが、言ってることが本気なのは千破矢が一番よくわかっている。——絶対に聞かないでおこう。千破矢は心からそう誓うのであった。
 ……この時点で豪雷は(精神的なダメージで)ぶっ倒れており、その隣では鈴芽が唸っており、そのまた隣では詩音が座り込んだまま何かぶつぶつと呟き、髪を結んでいた紐で遊んでいる。そしてその詩音の隣に真白が座っていて、カインはまだ目覚めない。
 なお、蓮と風蘭は空気が悪いという理由で荷車の屋根の上に避難している。日向はロボ2体と相変わらず四苦八苦。

「……カイン・クロウド、だっけ? 起きねェな」
「見たところ疲労があった。……おそらく今日には目覚めるだろう」
「なんであんなところにいたんだ?」
「おそらく、この前のトイフェルの件だろうな」
「うげ、砂漠離れちまったぞ大丈夫か?」
「当事者の僕らで説明すれば良いだろう」

 本を閉じ、真顔で受け答えをする。千破矢はその反応に違和感を覚え、今までの経験で確信する。

「お前、また感情を……ッ」

 そう言って胸倉に掴みかかると、真白の持っていた本が音を立てて地面に落ち、その音に詩音が反応した。

「ちょ、何してるんですか!?」
「……」
「……悪い。取り乱した」

 手を離し、それから少し離れる。真白は黙って千破矢を睨みつけ、その様子の異様さに詩音は吐き気すら覚えた。目を伏せたままこちらを見ようともしない千破矢と、黙ってそれを見据える真白。

「……君は、どうして欲しいの?」
「は……?」

 真白は立ち上がり、千破矢を見下ろす。

「僕にどうして欲しいの? 君も僕を縛るの? 結局君もあいつらと同じ、僕を“もの”として扱うの? 別に僕は君を否定しないよ。人なんてみんなそう。自分にとって都合の悪いものは“悪”。良いよ、別に。なんだかんだ言って結局僕も、自分の行く手を阻むモノは排除してきた。竜人、オンディーヌ、トイフェル、歌姫、バンシー。僕の踏み台にされた存在。正義って何? 悪って何? 希望、思い出、過去、未来、好き、嫌い、感情。アイ。わからない。理解出来ない。……わからない、よ」

 その時久しぶりに見た涙は、音を立てて地面に転がった。