コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: EUREKA ( No.93 )
- 日時: 2015/03/14 23:45
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
- 参照: ポストに誰からか金平糖とハンカチが入ってました。……ホワイトデー?
「……鬱です」
「えっ」
「はい、鬱なのです」
「いや、だから……。なんで?」
詩音が荷車の隅っこで溜め息を吐き、風蘭はその背中をぽんぽんと叩き、千破矢が質問する。そして真白は千破矢を蹴り飛ばすべきなのかで考え込み、鈴芽が全力でそれを止めている。豪雷はまだ寝ている。そのタイミングで蓮が戻って来て、「カオス」と呟いた。
「——ブルート街」
「え。……ああ、なるほど」
「えっ? ん? 真白、1人で納得してないで説明しろ」
「詩音、言って大丈夫か?」
「お任せします。っていうかあそこ通らない道ないでしょうか」
「ないな。いや、砂漠へ戻って別の方から出たら話は別だが」
マフラーをいじりながら真白は目を閉じ、話し始める。
「ブルート街。通商吸血鬼の街だが、その中でも金持ちの吸血鬼の街だ。まあ、領主が数年前に失踪したと聞いたが、新しい領主がいるらしいな」
「……」
「結論から言うと、邪魔者はどんな手段でも排除しに来るから気を付けろ。近寄るな、注意を怠るな、寄り道するな。わかったな?」
「「「「わかりました!」」」」
「と、こんな感じで良いのか?」
「……はい。そんな感じで問題ないです。とりあえずあそこは極力早めに抜けたいのですが、……」
何かを呟いて、詩音は運転席へ移動。席を替わり、日向が戻って来る。
「なんか詩音の目が今までにないほど据わってたんだけど」
「色々あったんだよ」
蓮が軽くスルーし、丁度その時豪雷が目を覚ました。
*
「……どうしたら?」
漆黒の髪の少女が独り呟く。真っ赤なワンピースと、真っ赤な靴。そして虚ろな真紅の瞳を開き、人通りのない路地を歩く。空は赤黒く染まっており、明かりのないその街でこの場所は“闇”そのものだろう。
「——なんだ、あいつ」
「ここでは見ない顔。それもなかなかの美人で」
「でもよ、ここは今、ムスカ氏が所持してる土地で、新しい住民とかの情報は凄い速さで広がるよな」
「それがなかったら、見世物小屋から脱走? それとも、侵入?」
「どっちにしろ、あいつ捕まえたらオレらにとってメリットしかねェんだろ?」
闇の中、少女を2人の吸血鬼が襲う。——次の瞬間、ふたつの首が地面に落ちた。
「——ったく、めんどくせェなー」
そう言いながら少女は1つの首を踏み付けた。
「大丈夫か? ——リン」