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Re: EUREKA ( No.97 )
日時: 2015/03/18 18:14
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
参照: ……(大混乱)

「!?」

 飛び蹴りとともに登場し、吹っ飛ばされた相手など眼中にも留めず荷車に入る真白。スカートに気を使いながらあとから来た詩音が見たのは地面(土)に頭をめり込ませて気絶しているモブと、その少し後ろにある荷車。真白が荷車からひょっこりと顔を出す。

「あ、詩音」
「ええ私です。なんとなく予想は出来ますが、何があったのですか?」
「衝動的に。あ、ロボ2体はいないが、カインさん確保」
「ロボ2体どこですか」
「さあ……」

 対象はロボットのため、場所特定が厄介。

「それに」
「?」
「探知しようとしたら、謎の拒絶反応——結界が邪魔してきた」
「ふぁっ」
「……詩音風に言うと、『はい、お察しの通り、罠にはめられたのでしょう』、……だな」
「え、あ、……はい」

 否定できない事件発生。
 詩音は真白の目の前に立って、荷車を見る。馬にも手が出されてないようで、2体だけが連れて行かれたと考えるのはおかしい。自らの意思で出たと考えるのが妥当だ。

「カイン様は無事なのですか?」
「問題ない。……そっち任せて良いか?」
「あ、構いませんが……。下が……」
「別にお前の下着見て興奮するやつはいないだろ。豪雷もいないし」
「ちょっと!?」
「——任せた」

 真白がいつの間にか手に持っていた拳銃を詩音の背後に打ち込み、荷車へ入る。詩音が振り返ると、鎌を持った少女が銃弾を避けて、すぐ後ろに立っていた。

「……私の敵?」
「え?」
「敵?」
「……違います。あなたが攻撃をして来ない限り、私は敵ではございません」
「……本当?」
「はい。約束です」

 向こうから襲って来ることはないらしい。真っ赤な衣装に黒の髪が映える少女。その瞳は虚ろで、詩音には恐怖が入り混じっているようにも見えた。

「……私、説明できない。クロム」

 少女がそう呟いた。

「はいはい、っと。“そっちも”変わるか?」
「……遠慮します。目覚めたら辺り一面血の海とかそんなホラー求めてませんので」
「どんなだよそれ。まあ、説明任されたな。言って良いか?」
「不意打ちとか駄目ですからね?」
「わーってるよ」

 クロムと呼ばれた少女——少年は一息吐いてから話し出す。

「この体の本体、リンはだいたい百年位前に作られた人形だ。色々あって——それはあとで話そうか。ある日、オレという存在を創り出し、人……? 動けるようになった。ってわけだ。……つまり、二重人格だな」
「では先ほど話していたのはリンと言う少女で、人形——付喪神といった類でしょうね。で、二重人格がどうしたのですか?」
「おう。二重人格ってのは自分が耐えられない状況を自分のことじゃないーって思い込んで心のダメージ回避☆ みたいなやつなんだよ。で、それが成長したら人格完成ってわけだ。お前もそんな感じのことあったんじゃねェの?」
「……否定はしません」

 幼い頃、父親に暴力を振られて泣きじゃくっていたのを覚えている。——今となってはある意味良い思い出である。
 その頃真白は1人、荷車の中で内職を開始していた——。


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