コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 脇役にもなれない君たちへ ( No.41 )
日時: 2015/01/25 03:16
名前: みもり ◆EcL409OyWY (ID: DYDcOtQz)

   episodeE

 「——本当に久しぶりだな、エリカ。3年ぶりくらいじゃないか?」

 「そうですよねえ。あ、聞いてください。私、ちゃんと卒業できるみたいなんですよお。ギリギリでしたけど」

 「……まさかエリカが、あの大学に入るとは思わなかったよ」

 「えへ、成績は下の方なんですけど、毎日楽しいですよ」

 「ところでこのガストに来ると、あいつらを思い出すよな。三好と夢乃。元気かな」

 「おふたりとも、東京に行っちゃいましたからね。夢乃ちゃんとはたまに連絡取りますが」

 「二人は今でもケンカしてるのか?」

 「……いえ、夢乃ちゃんと三好くん、高校の2年に進級するときにクラス離れちゃって、それっきりらしいです」

 「だよな。やっぱそうだよな」

 「……なんだか、悲しいです。仲良かったのに」

 「いや、ダメだろあいつらは。離したほうがお互いの為なんだよ」

 「そうなんですか。涼太郎さんがそう言うなら、そうなんでしょうねえ」

 「医学部のくせに相変わらずだよな、お前は。……そういえば、俺今は自動車屋で働いてるんだよ」

 「そうだったんですか。自動車かあ……私、とろうかなって思ってるんです。免許」

 「免許か。エリカももう21だもんなあ。早いなあ」

 「ほんとですよ、ついこの前じゃないですか、流れ星見たの!」

 「……ああ、あの後さ、家に帰って母さんに叱られたんだよ。11時過ぎてたじゃん、あの時」

 「あれは夢乃ちゃんが『焼肉に行こう』って言いだしたのが悪かったんですよ」

 「そんな前のこと、よく覚えてるよな」

 「だって、あれが私の一番の高校生活の思い出でしたから」

 「……あんなのが?」

 「はい!」

 「お前らしいっていうかなあ……」

 「……ふふ、ねえ、あと一つ話したいことがあるんです。大学を卒業したら、籍を入れることが決まったんです」

 「……マジで?」

 「はいっ。大学の1年の頃からお付き合いしていた方なんですけど、とっても素敵で」

 「……」

 「来春からは、奥山エリカになるんです」

 「……やっぱ、3年も経つといろいろ変わるんだなあ」

 「ええ。……これも、あの時私を変えてくれた涼太郎さんのおかげなんでしょう。ありがとうございました」

 「……礼を言われるほどのことはしてねえよ。エリカの人柄だろ、それは」

 「そうでしょうか。……成人式でこれ言ったら、みんな本当に驚いてて、こっちが拍子抜けしたっていうか」

 「そりゃあ驚くわな、エリカが結婚かあ。俺も年取るわけだ、ほんと」

 「やだ、まだまだ先は長いんですよ?」

 「……そうだな」

 「それじゃあ、またいつか。奢ってくれてありがとうございました、失礼します」

 「……ああ、じゃあな」


 ————午後3時、某ファミレスにて。ダッフルコートを着た裕福そうな女性と、貧乏そうな男性の会話より。