コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 未来視少女 ( No.5 )
- 日時: 2014/12/21 18:53
- 名前: フォルテ (ID: nWEjYf1F)
——こんなことが、最近起きたのだ。
元来私が持っていた予知能力のお陰で、幸いママも私も怪我を負う事なく、消火器のお陰で火事も免れることが出来た。
だけど問題は、あの後から今に至るまでの間。
私が消火器で台所の鍋目掛けて消火活動を行っていると、少し遅れてママがリビングまでやってきて、そのあまりにも惨過ぎる光景を見るなり大きな悲鳴を上げた。
それからママは暫く硬直した状態で動くことなく、ただ床に座り込んで泣いていた。
そんなママを慰めたくて、私は消火活動を終えて真っ先にリビングへと駆け込み、暫くママの背中をさすった。
けれど——
「……て」
「?」
「出てって!」
「!」
いきなりママが怒鳴った。
って思っていたら、ママは涙目で私を振り返るなり、立ち上がった勢いで私を突き飛ばした。
突然の出来事に私は受身もとれず、その勢いのまま尻餅をつく。
「な、何するの!」
訴えるけど、ママは聞いちゃいない。目がそう語っている。
「私、つくづく思っていたのよ。アンタと一緒にいると、どうして物事全部が上手くいくのかって」
「え、えっと……ママ、何言ってるの……?」
「黙りなさい!」
「っ!」
何時にない怒声に私は反射的に目を瞑り、同時に身を縮こませた。
ずきんと胸が痛む。こんなの、いつものママじゃない——
「今考えてみれば、そういうことだったのね?」
「何よ……」
「アンタは人間じゃないから、こういうことが起きるんだって分かるんでしょう?」
「……」
「そうなんでしょ!?」
「っ!」
——酷いよ、いきなり。でも、その言葉は声にならなかった。
何故なら、私の未来が視える力は、確かに人間じみたものじゃないから。
もしかしたら、本当にママの言うとおり、私は人間じゃないのかもしれないし。
「アンタはもう如月家の人間じゃないわ。はやく出てって」
「やだ……」
「はやくしなさいっ!」
「……」
——沈黙が走る。
でも結局その沈黙に勝てず、まるで別人のよう変わり果てたママのその言葉を最後に、私は大人しく家を出た。
本当は出たくなかったけど、聞く耳もたずって感じだったから、こうするしかなかった。
——あの時、私の中にあった家族という関係に、一生治らない亀裂が生じた気がした。