コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 未来視少女 ( No.9 )
- 日時: 2014/12/22 18:32
- 名前: フォルテ (ID: nWEjYf1F)
「——んん……?」
ふっと目蓋が軽くなった今、私はいつの間にか寝てしまったらしいことに気がついた。
一体いつから寝ていただろう。義隆君の家まで来たのは夢だったのかな。
とはいえ、まだ身体には疲労感が残っているけど、とりあえず起きないことには何も始まらない。
渋々私は、軽くなったといってもまだ若干重たい目蓋を開き、状況把握を開始した。
——懐かしい気もする、ふわふわとした何かが私の全身を包んでいる。
久し振りすぎて一瞬分からなかったけど、その正体が布団だということに気付くまで、さほど時間はかからなかった。
——ということは、だ。
私がこうして布団で寝ているということは、あれから義隆君の家まで歩いてきたのは夢じゃないと思う。
その証拠に足は痛いし、体も重いし、まずこの部屋は私の部屋じゃないし。
私の部屋は全てピンクと白で統一されていて、その上で服やら本やらでかなり散らかっている。
それに対してこの部屋は落ち着きのあるムーディースタイルであり、私には考えられないくらい非常に綺麗。
だから、たとえこの部屋が私の部屋だと知らされたとしても、それは単なる立ちの悪い冗談にしか思えないのだ。
だったらここは、一体誰の部屋だろうか。
そんな自問に対する自答は直ぐに返ってきて、至ったその1つばかりの結論に、私は頬が紅潮するのが分かった。
「如月ー」
「!」
けれど、その結論に慌てている時間はなかったらしい。
唐突に部屋の扉が空いて、洗面器とタオルを持った義隆君が部屋に入ってきたのだから。
「お、目覚めた?」
義隆君はそのまま扉を閉めて、私の枕元に洗面器を置いた。
中には氷水が入ってる。きっと私の熱さましにでも使うのだろう。
その氷水にタオルを浸した彼はすぐにそれを絞り、洗面器が乗っているお盆の空いたスペースにそれを置いた。
——それじゃあ手が冷たいだろうに。
私の手で暖めてあげたかったけど、今は出来なかった。
何故なら、数日間風呂に入っていない所為で、私の身体がひどく汚れていたからだ。
「ごめんね。手間掛けさせちゃって」
「いいっていいって。そんなことより風呂入ってきたら? めっちゃ汚れてるし、お前」
「あー、うん」
今まさに風呂に入りたいと思っていたところだ。
一先ず、何とか動けるくらいには体力が回復している。
そうと決まれば女たるもの、まずは身体をきれいにしなきゃ。
「新しい布団とお前の着替え、用意しとくからよ。ゆっくり入っといで」
「ありがとう」
——むやみに事情を聞き出そうとしない義隆君の優しさに、私は心を打たれた。