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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: COSMOS<ロック終了(*^^*)> ( No.127 )
- 日時: 2015/03/30 11:07
- 名前: Garnet (ID: fGppk.V/)
“人生という無色の糸かせには、殺人という真っ赤な糸が混ざって巻き込まれている。”
かの名探偵、シャーロックホームズの言葉だ。
さっきの麻衣の話とホームズの言葉が 混じり合う。
自習室にいたのが幸いし、何かがあったと 誰にも勘付かれることなく、今日の塾の全コマが終了した。
麻衣は5時半きっかりに塾を出た。僕よりも 30分早く帰ったらしい。
もう冬でないとはいえ、さすがに辺りも暗くなっていた。
知美の言う"街"のマンションへ、自転車を走らせる。
何も考えずに、ただただ漕いだ。
そんな中で ふと、エマと知美と奈苗ちゃんを思い出した。
あの3人の雰囲気が似ていると感じたのは、僕だけなのだろうか。
それどころか、エマと奈苗ちゃんは 見た目まで似ていた。
やっぱり、麻衣の言っていることは 間違っていないのかもしれない——
そんなところまで考え始めたとき、誰かの気配を感じたような気がして 思わず自転車を止めた。
ここは 夜になると、ほぼ誰も通らないはず。
大人がよく言う"怪しい人"なのかと、少し身構えてしまった。
自らの視線を ぐるりと巡らせる。
木々の新しい葉が 不気味な音を立ててざわめく。
そんなわけないか、と 自分に言い聞かせるように呟くと、木がお喋りをやめ、静かな夜になった。
「…」
もう 視線は感じない。
「誰か連れてってよ」
誰も追いかけてこない何処かへ。
何も気にしなくていい何処かへ。
無意識に見上げた宇宙に、問うてみた。でも、彼等は何も答えなかった。
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