コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: COSMOS<ロック終了(*^^*)> ( No.128 )
- 日時: 2015/04/01 17:04
- 名前: Garnet (ID: 4CP.eg2q)
Taku's story
「う、うそだろー?!」
「え?何?どうしたの?」
俺の上げた声に、隣の席の女子が 大きな瞳を向けてきた。
すると、その女子の声を聞きつけて 5、6人のクラスメートも周りに集まった。
彼らの手の中には、もちろん、『アレ』がある。
それに気がつき、俺も『アレ』を折り曲げて隠した。
「良い知らせか?それとも、悪い知らせか?」
良樹も さり気なく、そこに紛れ込んでいた。
「勿論———」
「「うん…」」
もったいぶる俺の言葉に、彼らは息を呑む。
「450点だーっ!!!」
「「えぇぇっ?!!」」
えー?!とは何だ。
失礼な。
「嘘〜?拓が450取ったって?」
「マジかよ〜」
騒がしい波が立つ。
ったく…。これじゃあまるで、俺がカンニングしたみたいじゃないか。
そう。
アレというのは、テストのこと。
“ビーフコロッケ”から2日後に至る今日、9教科全てのテストが返されたのだ。
実技教科の出来は…いつもなら 鬱ぎ込むほど悪いけれど———
「おいおい!実技のほうも、美術以外は90点超えてるじゃねーか!」
目を真ん丸にした良樹の、言う通り。
保健体育と技術は苦労しなかったけど、問題だったのは家庭科と美術。
何は何群だとか、
自分の手をデッサンしろだとか。
今でも 鈴木さんと蘭の呆れ顔が思い出される。
奈苗の美術講座は、そんなこと無かったけど。
例え中身は俺らと同等だったとしても、幼稚園生に教えてもらうというのには、
何とも言いがたいものがある。
すると、そう思っていたのを知っているかのように、
「ねぇ、拓って絵描くの得意だったっけ?」
と 隣の女子が言った。
「家に そういう子がいるんだよ」
「へー。女の子?」
「あぁ。幼稚園の年少。」
「うわあ、可愛いだろうね!」
「可愛い…ってよりも……そういえば、佐藤の妹も年少なんだろ?」
言い忘れてた。
彼女の名前は 佐藤里香だ。
大きくてぱっちりとした目は、一度見たら忘れないほど印象的。
「うん。四つ葉だけど。」
ちょっぴり残念そうに言った佐藤。
奈苗も四つ葉だとは、流石に言えなかった。
(つづく)
- Re: COSMOS<ロック終了(*^^*)> ( No.130 )
- 日時: 2015/04/01 17:00
- 名前: Garnet (ID: 4CP.eg2q)
夕暮れの帰り道、ふあぁっ、と欠伸が零れる。4月から2年生か…。
3月になったということもあり、雪もだいぶ解けた。
これで、暫くは のんびりと好きなことができる。
…いや、待て。
予餞会があるし、卒業式があるし———
あ。
大事なことを忘れていた。
最近、やけに佐藤が絡んでくると思ってたんだ。
「あっ、遠山さん!」
「ん?」
近くを歩いていた小母さんに 声をかける。
顔の広い蘭のお陰で、知り合いになったのだ。何でも、俺らの学校のOGなんだとか。
「今日って、8日でしたっけ?」
「何言ってんの!7日だよ!!」
「そうでしたか。ははは…」
安堵の笑いを漏らすと、遠山さんの飼い犬が 俺に飛びついてきた。
この辺ではあまり見ない、薄い色のミニチュアダックスフンド。
「ダイヤ!久し振りだな。…ハハッ、くすぐったいよ。」
「ワン!!」
当の本人——本“犬”は、さらさらの毛を風になびかせながら 肩に乗っかってきた。
宝石の名前だ とよく珍しがられるらしい。
さらに、座敷ネコのロシアンブルーには、サファイア、なんて命名している。
「拓君、さては…ホワイトデーのお返し、まだ考えてないんじゃないだろうね?」
遠山さんが、にやにやしながら 距離を詰めてくる。
「い、いや…その…」
「どうなんだい。」
更に距離が詰められ、ダイヤは遠山さんの肩に乗り移った。
蘭のヤツ…
まさか 言いふらしたんじゃ…
(つづく)